研究課題/領域番号 |
21K15067
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 亮 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教(常勤) (90814575)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘテロクロマチン / H3K9メチル化 / 遺伝子発現抑制 |
研究実績の概要 |
クロマチンを恒常的に凝集させる構成的ヘテロクロマチン(以下、ヘテロクロマチン)は、細胞の独自性を規定するための遺伝子発現制御に不可欠である。しかし、ヘテロクロマチンが細胞内でどのように形成されるか、その分子メカニズムは不明な点が多い。本研究では、ほ乳類におけるヘテロクロマチンの形成機構を解明することで、遺伝子の発現制御におけるクロマチン高次構造の役割を明らかにする。 ヘテロクロマチンはヒストン修飾H3K9メチル化にHP1が結合することで形成される。今年度は、HP1を欠損させたマウスES細胞を用いて、H3K9脱メチル化酵素に対するHP1の役割を明らかにした。私はこれまで、HP1を欠損させると、H3K9メチル化酵素がタンパク質分解を受けることを発見した。この現象と同様に、H3K9脱メチル化酵素においても、HP1欠損後に分解されることが明らかとなった。H3K9メチル化に結合できないHP1では、H3K9脱メチル化酵素の安定性は維持できなかったことから、H3K9脱メチル化酵素は、HP1によってクロマチン上にアンカーされ、それにより安定性を担保されていることが明らかになった。これらの研究成果はEMBO Rep誌に掲載された。 H3K9メチル化酵素は哺乳類で三つのファミリーに大別できる。それらファミリーが細胞内でどのように役割分担をしているか調べるために、各ノックアウトを組み合わせた多重ノックアウト細胞を樹立した。今後、これらの細胞を用いて、H3K9メチル化がどのように形成されるか調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の予定は、HP1の完全欠損によるクロマチンの構造変化を核内配置などに着目して詳細に追う予定であった。しかし、論文投稿後のやりとりに想定以上に時間をとられ、条件検討実験程度に留まってしまった。そのため、当初の予定に対してやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HP1やH3K9メチル化による染色体の核内配置の制御に焦点をあてた研究をおこなう予定である。H3K9メチル化によって制御される染色体を可視化するために、特定の反復配列領域を解析対象にする。FISH法を確立し、その配列を可視化する。HP1およびH3K9メチル化酵素を欠損させたあとの変化をFISH法やH3K9メチル化に対するChIP-seq法により調べる。また、反復配列上にBioIDを結合させたCas9をリクルートさせ、反復配列上に存在するタンパク質をLC-MS/MSにより同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に実施予定であった次世代シーケンス解析が、研究の遅れにより実施できなかった。したがって、次年度への助成金の繰越しが生じた。
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