研究実績の概要 |
近年、1細胞遺伝子発現解析によって発生や刺激に伴う細胞状態の変化を遺伝子発現プロファイルによってモデル化することで、それぞれのサンプルにおける細胞状態の変化と擬時間を推定する解析が行われている。なお、擬時間とは実時間とは必ずしも一致するものではなく、細胞の遷移状態の進行度合いを示したものである。細胞状態の変化の軌跡と擬時間を推定した次のステップとして、細胞運命が分岐した細胞種間で異なる発現パターンを示す遺伝子の抽出をしたいというニーズがある。ここで、発生や刺激に伴う細胞状態の変化の軌跡と擬時間を推定するためのソフトウェアは多数発表されている一方、擬時間ベースで発現変動遺伝子を抽出するアルゴリズムは限られていた。本研究の目的は、フーリエ変換を用いた擬時間ベースの発現変動遺伝子検出アルゴリズムを開発である。2021年度はまず、細胞状態の変化の軌跡と擬時間を推定するソフトウェアの選定とフーリエ変換ベースのアルゴリズムの実装をおこなった。 また、ゲノミクスデータの解析を行うにあたり、高次元なデータを低次元のベクトルで表現することが必要になる場合がある。そこで、何らかのタスクの解決な特徴表現を学ぶための手法である表現学習について網羅的に調査した。特に自然言語処理をDNA/RNA/タンパクのような生物学的配列に適用している論文にフォーカスしてレビュー論文として発表した (Iuchi et al., Comput Struct Biotechnol J., 2021) 。
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