研究実績の概要 |
オートファジーには、Atg5に依存し小胞体膜を起源とする通常のオートファジーと、Atg5に依存せずゴルジ体膜を起源とする新規オートファジーが存在する。後者のオートファジーは、ゴルジ体機能を阻害すると誘導されることが知られている。しかし,この時に、『どのような分子が新規オートファジー特異的に機能しているのか?』についてはほとんど未解明のままである.また,新規オートファジーを簡便に可視化する手法が確立されておらず,実際に『ゴルジ体がどのように新規オートファジーの起点となって機能するのか?』についても未解明のままであった. まず,ゴルジ体の形態変化による新規オートファジーへの寄与を検証するために,申請者は新規オートファジーを簡便に標識・可視化する手法の開発に取り組んだ.その結果,新規オートファジーをライブイメージング観察することが可能となった(Sakurai et al., 2022; Sakurai et al., under revision).申請者は開発した手法を用い,新規オートファジーを誘導時のゴルジ体形態変化を詳細に解析し,隔離膜形成機構の解明を目指す.また,数理モデルとケミカルバイオロジーを活用し,新規オートファジー隔離膜形成に機能する分子群の解明を目指す. 本年度の成果は以下の通りである.① 開発した新手法についての学術論文が受理・公表された.② さらに細胞だけでなく生体での新規オートファジー可視化手法について学術論文をまとめ,投稿している.③ ゴルジ体からの隔離膜形成に寄与する分子群の同定に成功し,分子機構を明らかにした.④ 以上の結果をまとめ,学術論文として投稿する準備を進めている.
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