本研究提案では、 Claudinを裏打ちするZOタンパク質やユビキチンリガーゼに着目し、タイトジャンクションのターンオーバー機構の解明に取り組み、タイトジャンクションの定常性を解明することを目指す。 本研究では、これまでに、タイトジャンクションの形成に必須の構成要素であると考えられてきたZO(Zonulla Occludens)タンパク質を欠損し、タイトジャンクションが消失した細胞(ZO KO細胞)においても、プロテアソーム阻害剤を細胞に作用させることで、ZOタンパク質非依存的にタイトジャンクションの形成が誘導されることを明らかにしてきた。これは、Claudinのユビキチン化の変化によるものではないかという仮説を立て、検証を行ってきた。 これまでのところ、ZO KO細胞に、プロテアソーム阻害剤を作用させ、Claudinが集積している領域では、Ubも集積していることが観察された。このようなUbの集積は、野生型細胞では認められず、ZOタンパク質によるClaudinのユビキチン化修飾からの保護が、存在する可能性が示唆された。しかし、研究の過程において、ZO結合領域を欠損したClaudinもタイトジャンクションを形成可能であることを明らかにした。ZOタンパク質とClaudinの結合がタイトジャンクションの形成に必ずしも必要でないという新たな知見を得た。さらに詳細に解析を進めた結果、ZOタンパク質が、形質膜のコレステロールを直接または間接的に集積し、コレステロールに富んだ膜領域にClaudinを集積していることを明らかにした。
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