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2021 年度 実施状況報告書

一次繊毛における新規機構「分子コンバータ」システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15096
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

加藤 孝信  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (80844935)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード一次繊毛 / シグナル制御 / メカノセンサー / カルシウムイメージング / プロテオミクス
研究実績の概要

細胞から伸びたアンテナのような小器官である一次繊毛は、細胞外環境を感知するセンサーとしてはたらく。これまでの研究から、細胞外の流れ刺激に対して繊毛内でカルシウム応答が見られることは知られていたが、その下流のシグナルカスケードに関しては未解明な点が多い。本研究課題では、この一次繊毛というアンテナが、どのように細胞に情報を伝達し、制御するのかを明らかにすることを目的とした。
そのために、今年度は①フローチャンバーを用いて腎臓由来の培養細胞に細胞外流れ刺激を与える系を構築し、微量のサンプルから質量分析を行う系を構築する事に成功した。その結果、流れ刺激によって細胞・繊毛でどのようなタンパク質の増減やリン酸化修飾の変化が起きるのかを明らかにすることができ、細胞外流れ刺激によって活性化されるいくつかの候補となるシグナル経路を同定することが出来た。
また、②繊毛の中で細胞外流れ刺激によってどのようなタンパク質の増減やリン酸化修飾が起きるのかを知るために、繊毛内プロテオーム解析系を立ち上げつつある。すでに必要な遺伝子改変細胞も作成済みであり、引き続き実験計画を遂行してゆく。
さらに、③繊毛内での分子コンバータ因子の動態解析で必要な光路の構築を開始しており、次年度に計画している観察に向けて順調に準備を進めることが出来た。
またこの研究を進める中で、マウス初期胚のノードの一次繊毛 (マウスノード不動繊毛) において、繊毛内のタンパク質局在に異方性があり、繊毛が曲げられる向きを感知している可能性があるという驚くべき結果を得た (論文投稿中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請書の研究計画通りに順調に研究を進めており、「培養細胞にフローを与えるハイスループットシステムを用いた分子コンバータ関連の候補因子スクリーニング」を8割がた構築することに成功した。また、次年度に予定している繊毛内での分子コンバータ因子の動態解析に関しても順調に準備を進めている。
また一方で、この研究を進める中で、この研究計画では想定していなかったマウスノード不動繊毛において思いもよらない偶発的な発見があり、以前の研究結果とあわせて論文投稿を行うことが出来た。これらを総合的に評価すると、当初計画していた以上にインパクトのある結果となり、想定以上の進展と評価することが出来る。

今後の研究の推進方策

今後は申請書の研究計画通りに「培養細胞にフローを与えるハイスループットシステムを用いた分子コンバータ関連の候補因子スクリーニング」を完了させることを目指す。これにより、細胞外流れ刺激によって、繊毛内でどのようなタンパク質の増減やリン酸化修飾が起きるのかを初めて明らかにすることが出来る見込みである。さらに申請書で計画しているように、「繊毛内での分子コンバータ因子の動態解析」に関しても引き続き顕微鏡開発を行ってゆく予定である。一方でマウスノード不動繊毛の実験に関しては、実験の規模が大きく本研究予算では到底賄いきれない為、新たに研究費を申請する必要があり、検討中である。

次年度使用額が生じた理由

研究者自身が設計する必要のあった特注光学部品の設計が1点だけ間に合わず、やむなく次年度に発注することになった為。研究計画自体は想定通り進んでおり、計画書に記載したとおりに研究を進めて行く。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fluid flow-induced left-right asymmetric decay of Dand5 mRNA in the mouse embryo requires a Bicc1-Ccr4 RNA degradation complex2021

    • 著者名/発表者名
      Minegishi Katsura、Rothe Benjamin、Komatsu Kaoru R.、Ono Hiroki、Ikawa Yayoi、Nishimura Hiromi、Katoh Takanobu A.、Kajikawa Eriko、Sai Xiaorei、Miyashita Emi、Takaoka Katsuyoshi、Bando Kana、Kiyonari Hiroshi、Yamamoto Tadashi、Saito Hirohide、Constam Daniel B.、Hamada Hiroshi
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: 4071

    • DOI

      10.1038/s41467-021-24295-2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Angle change of the A-domain in a single SERCA1a molecule detected by defocused orientation imaging2021

    • 著者名/発表者名
      Katoh Takanobu A.、Daiho Takashi、Yamasaki Kazuo、Danko Stefania、Fujimura Shoko、Suzuki Hiroshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 13672

    • DOI

      10.1038/s41598-021-92986-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Novel Applications of 3D Localization Microscopy to a Variety of Molecular Motors2021

    • 著者名/発表者名
      NISHIZAKA Takayuki、KATOH Takanobu A.、NAKANE Daisuke
    • 雑誌名

      Seibutsu Butsuri

      巻: 61 ページ: 395~397

    • DOI

      10.2142/biophys.61.395

    • 査読あり
  • [学会発表] 左右軸決定における、マウスノード不動繊毛への機械刺激依存的なCerl2 mRNA分解の活性化2021

    • 著者名/発表者名
      加藤孝信、水野克俊、大森俊宏、石川拓司、濱田博司
    • 学会等名
      第11回 繊毛研究会
  • [学会発表] Defocus imaging法による SERCA1aの Aドメインの角度変化検出2021

    • 著者名/発表者名
      加藤 孝信
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会 第47回討論会
  • [学会発表] 左右軸決定における、マウスノード不動繊毛への機械刺激依存的なCerl2 mRNA 分解の活性化2021

    • 著者名/発表者名
      加藤 孝信, 大森 俊宏, 水野 克俊, 石川 拓司, 濱田 博司
    • 学会等名
      日本生物物理学会 第59回年会
  • [学会発表] 左右軸決定における、マウスノード不動繊毛への機械刺激依存的なCerl2 mRNA分解の活性化2021

    • 著者名/発表者名
      加藤 孝信, 大森 俊宏, 水野 克俊, 石川 拓司, 濱田 博司
    • 学会等名
      第44回 日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [備考] Takanobu A Katoh's Website

    • URL

      https://sites.google.com/view/

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公開日: 2022-12-28  

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