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2022 年度 実施状況報告書

神経回路再編における神経突起の選択的除去メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15102
研究機関東京大学

研究代表者

古澤 孝太郎  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (30898961)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード神経回路再編 / 感覚ニューロン / 刈り込み / プレシナプス / 樹状突起
研究実績の概要

脳神経回路の大まかな配線は胎児期に形成されるが、この時期の脳神経回路は過剰量の神経突起を張り巡らせている。そのため、その後の発達段階において、余分な神経突起を選択的に除去することで機能的な情報処理回路へと成熟する。神経突起の選択的除去の異常は、自閉症などの発達障害の一因となる可能性が示されているため、神経突起の選択的除去は脳発達の根幹を担う機構であると考えられている。ショウジョウバエ感覚神経細胞において、樹状突起が除去される約3時間前に、将来的に除去される突起において「低頻度カルシウム振動」が発生する。申請者は、この低頻度カルシウム振動を指標にして神経突起の選択的除去に関わる因子の同定及びその機能解析を行った。
前年度において申請者は、この低頻度カルシウム振動を指標にして神経突起の選択的除去に関わる因子を網羅的に探索し、ミトコンドリア及びその関連因子を同定した。今年度は、樹状突起の除去機構に加えて、軸索/プレシナプスの除去機構に関わる因子の同定及び機能解析を行った。前年度に明らかにした樹状突起除去に必要な因子、および既知の樹状突起除去に必要な因子が、軸索/プレシナプス刈り込みにも必要であるのかを解析したところ、ユビキチン・プロテアソームシステムが、樹状突起刈り込みと軸索/プレシナプス刈り込みの両方に必要であることがわかった。興味深いことに、樹状突起除去と軸索/プレシナプス除去には、異なるE3リガーゼが必要であることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者は、前年度において樹状突起除去に関わる因子を網羅的に探索し、ミトコンドリア及びその関連因子を同定した。今年度は樹状突起に加えて、軸索/プレシナプスの除去機構に関わる因子の同定、及びその機能解析を行った。樹状突起除去に必要な因子が、軸索/プレシナプス刈り込みにも必要であるのかを解析したところ、ユビキチン・プロテアソームシステムが樹状突起刈り込みと軸索/プレシナプス刈り込みの両方に必要であることを明らかにした。興味深いことに、樹状突起除去と軸索/プレシナプス除去には、異なるE3リガーゼが必要であることを見出した。さらに、軸索/プレシナプス除去におけるE3リガーゼの下流因子も同定した。

今後の研究の推進方策

これまで申請者は、ショウジョウバエ変態期において軸索/プレシナプス除去に必要なE3リガーゼを同定した。今後は、同定したE3リガーゼに対する抗体及びレポーター系統を作製することで、軸索/プレシナプス除去におけるE3リガーゼの分子動態を明らかにする。加えて、このE3リガーゼが、ショウジョウバエ変態期における軸索/プレシナプス除去だけではなく、神経活動に依存した軸索/プレシナプス除去にも必要であるのかを解析する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、スクリーニングを通じて見出した低頻度カルシウム振動の制御因子について解析するために、新たな生体イメージングの実験系を立ち上げる予定だった。しかし、前年度において、当初予想し得なかった神経回路再編が起こる新規領域を見出した。この領域の神経回路再編メカニズムを解析するために想定外の日数を要したため、生体イメージング実験系の確立が遅れ、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Molecular control of developmental neuronal remodeling in Drosophila neurons2022

    • 著者名/発表者名
      Kotaro Furusawa, Kenichi Ishii, Kazuo Emoto
    • 学会等名
      NEURO2022

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公開日: 2023-12-25  

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