本研究では、組織切片上の解析標的とする一細胞のトランスクリプトームを高精度に解析する手法を実現した。また、この手法を用いたマウス卵巣の解析により、卵母細胞の成熟に関連する新たな知見を得た。本知見は、不明な点の多い生体内の卵母細胞の品質管理機構に関連していることが示唆されるもので、更なる詳細な解析により生殖補助医療への応用へと繋げられる可能性がある。また、開発した手法は、卵巣のみならず、他の臓器、保存された病理サンプル等への応用が可能なものであり、特に組織的な病変を伴う疾患の病因に関して、新規知見を得るための基盤技術となると考えられる。
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