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2021 年度 実施状況報告書

婚姻贈呈の進化的獲得を実現する神経機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15137
研究機関名古屋大学

研究代表者

田中 良弥  名古屋大学, 理学研究科, 助教 (00839409)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード行動の進化 / ショウジョウバエ / ゲノム編集 / 光遺伝学 / 求愛行動
研究実績の概要

キイロショウジョウバエと同属のDrosophila subobscuraは求愛の過程でオスが消化管の内容物を吐き戻してメスに与えることで婚姻贈呈を示す。このような、婚姻贈呈はショウジョウバエ属の他種では知られていないものの、昆虫の仲間では幅広い分類群で観察されている。これは、婚姻贈呈がさまざまな昆虫で独立して獲得された求愛行動様式であることを示唆する。しかし、この行動を制御する神経機構は明らかにされていない。本研究では、婚姻贈呈を示すD. subobscuraを研究に用いることで、婚姻贈呈の獲得をもたらす神経機構の解明に挑んだ。
私たちはこれまでに、ゲノム編集技術を用いることで、Drosophila subobscuraの求愛行動を制御する脳内約2000個の細胞からなる神経回路を同定した。この神経回路は雄特異的転写因子をコードする遺伝子を発現しており、キイロショウジョウバエにおいても相同な神経回路が求愛行動の実現に重要な働きをしていることがわかっている。こうした知見から、種間を超えて保存された求愛行動に関わる神経回路の変化が、Drosophila subobscuraの婚姻贈呈の獲得に関わると仮説を立てた。
昨年度までの研究で、上述の約2000個の細胞の中から婚姻贈呈を制御する神経細胞群を同定することに成功した。今年度は、婚姻贈呈を制御する神経細胞群の下流に位置する神経細胞や運動器官を同定することに成功した。今後は、同定した神経細胞群・運動器官を種間で比較することで、どういった細胞の・どのような変化が婚姻贈呈の獲得をもたらすかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Drosophila subobscuraにおいて、婚姻贈呈を制御する神経細胞群の下流系を同定することに成功し、それぞれの要素についてキイロショウジョウバエとの種間比較にも着手したため。

今後の研究の推進方策

同定した婚姻贈呈を制御する神経細胞群とその下流経路について、キイロショウジョウバエとの種間比較を詳細に行う。これにより、婚姻贈呈の獲得に関わる要因を少数ニューロンのレベルで明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度の実験には昨年度以前に使用した形質転換体を使用し、新たな系統作成を次年度に予定変更した。そのため、次年度使用額が生じた。繰越た次年度使用額は次年度使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] クワズイモショウジョウバエの群れ形成における時間動態2021

    • 著者名/発表者名
      田中良弥, 白崎莉玖, 武方宏樹, 高野(竹中)宏平, 林優人, 藤井航平, 石川由希, 上川内あづさ
    • 学会等名
      第28回 日本時間生物学会学術大会 シンポジウム「南の生物と時間」
    • 招待講演
  • [図書] 遺伝学の百科事典2022

    • 著者名/発表者名
      日本遺伝学会
    • 総ページ数
      690
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      462130660X

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公開日: 2022-12-28  

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