研究課題/領域番号 |
21K15144
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
別所 学 (別所ー上原学) 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (80880434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 盗タンパク質 / ルシフェラーゼ / キンメモドキ / ウミホタル / 生物発光 |
研究実績の概要 |
発光魚キンメモドキParapriacanthus ransonnetiは、トガリウミホタルCypridina noctilucaのルシフェラーゼタンパク質を発光器に取り込むが、その動態は不明である。また、免疫組織化学による染色像より発光細胞の細胞質にルシフェラーゼが存在することから、膜介在性の取り込み機構などによりルシフェラーゼが取り込まれていると予想される。すなわち、膜に局在するトガリウミホタルルシフェラーゼ受容体の存在を想定して、これを同定することを目指す。 新型コロナウィルス感染症の流行のため、研究が断続的に中断されてしまい、また、協力関係にあった水族館も閉館に至ったため、生体サンプルの供給に大きな問題が生じた。そのため、飼育実験を精力的に行うことが不可能であった。 リコンビナントトガリウミホタルルシフェラーゼをキンメモドキに投与したところ、投与後1日から3日では発光器でのルシフェラーゼ活性の取り込みを検出することができた。しかしながら、ウェスタンブロットや質量分析法によりこれらのサンプルからリコンビナントトガリウミホタルルシフェラーゼの検出を試みたが、検出できなかった。これらの結果は取り込みには十分な時間が必要であることを示唆している。さらなる実験を行うため、生体サンプルのあらたな供給経路を模索した結果、某水族館との協力関係を結ぶことができた。これにより、長期間の飼育実験が可能となった。これまでの研究から、ウミホタルVargula hilgendorfii の2週間にわたる投与で、ウミホタルルシフェラーゼの発光器における取り込みは確認されている。今後は、実験期間を1週間に設定して投与実験を行うことで、ルシフェラーゼタンパク質の取込みを見出し、タンパク質共沈降法により、相互作用タンパク質の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
キンメモドキのルシフェラーゼタンパク質取り込み機構解明のために、ルシフェラーゼと相互作用し取り込みに寄与する分子実体の解明を目指す。期間中に、リコンビナントルシフェラーゼの作成と投与実験の検討を行い、取り込みには数日以上の長期間が必要であることを明らかにした。 新型コロナウィルス感染症の流行のため、研究が断続的に中断されてしまい飼育実験を精力的に行うことが不可能であった。 本研究費申請額の直接経費5000千円に対して、説明もなく3700千円の減額交付であったため、研究に必須の発光測定器の購入が困難となり、さらなる外部資金獲得が必要となり、研究の進展が非常に遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
生体サンプルのあらたな供給経路を模索した結果、某水族館との協力関係を結ぶことができた。これにより、長期間の飼育実験が可能となった。これまでの研究から、ウミホタルVargula hilgendorfii の2週間にわたる投与で、ウミホタルルシフェラーゼの発光器における取り込みは確認されている。今後は、実験期間を1週間に設定して投与実験を行うことで、ルシフェラーゼタンパク質の取込みを見出し、タンパク質共沈降法などにより、相互作用タンパク質の同定を目指す。 また、RNA-seqを発光器と非発光組織で行い、比較解析することで発光器に特異的に発現する遺伝子を網羅的に解析する。検出された遺伝子の中からタンパク質の取り込みに関連する遺伝子群を同定し、その組織上での局在を調べタンパク質取り込みへの関与を実際に検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、サンプリング調査や研究打ち合わせと言った出張を控えることを余儀なくされ、結果として旅費の執行が困難となったため。今後、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いた場合に、サンプリング調査や研究打ち合わせを行う。
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