研究課題/領域番号 |
21K15158
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研究機関 | 公益財団法人黒潮生物研究所 |
研究代表者 |
戸篠 祥 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 主任研究員 (30814397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鉢クラゲ / 冠クラゲ目 / 系統分類学 / 生活史 / ポリプ / イラモ / エフィラクラゲ |
研究実績の概要 |
2021年度は四国西南部および琉球列島を中心にプランクトンネットやシュノーケリング、SCUBAによる採集調査を行った。その結果、冠クラゲ目のクラゲとポリプを数種、採集することができた。また、研究協力者からクラゲの標本の提供を受けた。これらのクラゲとポリプは形態観察(傘、触手、感覚器、水管構造など)を行い、既知種との比較を行った。高知県沖で得られたサンプルについては日本初記録種、琉球列島で得られたサンプルは未記載種であると考えられる。日本各地で得られたエフィラクラゲについても、複数種が含まれる可能性が高いと考えられる。 分子系統解析については、いくつかのサンプルでDNA抽出を行った。16SrDNAやCOX1についてPCRを実施した。いくつかのサンプルについては良好なDNA増幅が確認できたものの、目的領域の増幅が確認できなかったサンプルもあった。おそらく、PCRプライマーがあっていないと思われるため、データベースの配列データを参考に、新規のPCRプライマー設計を進めている。今後は18Sや28Sなど別領域についても配列分析を進めていく予定である。 沖縄および高知で採集されたエフィラクラゲ科については受精卵が得られ、ポリプまで育成することができた。また。ポリプからエフィラを遊離させ、育成することができた。これらの成果は論文としてまとめているところである。イラモの飼育も進めており、今後はクラゲを遊離させ、分類学的精査を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に用いるサンプルは調査や提供により、おおむね順調に集まっている。また、いくつかのサンプルについても形態観察を実施し、日本初記録種や未記載種であることを明らかにできた。分子系統解析については、PCR反応がややうまくいっていない部分もあり、今後はPCRプライマーや反応の再検討が必要である。論文作成は今のところ、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は日本各地の水族館や研究機関に協力を呼びかけ、日本沿岸における浅海域から深海域のサンプル収集に努める。また、成熟クラゲを採集し、受精卵を得て、生活史の解明を進めるとともに、ポリプとクラゲの種の関係を明らかにする。分子系統解析についても、先行研究や文献を参照し、塩基配列の解読や系統樹作成を進める。
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