研究課題/領域番号 |
21K15167
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
工藤 愛弓 摂南大学, 農学部, 助教 (10849285)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シュモクバエ / 個体群間変異 / 捕食回避行動 |
研究実績の概要 |
動物にとっていかに素早く捕食者を認識し,被食を回避するかは生死を左右する重要な課題である.これまで,捕食回避行動は研究者の興味を引いてきたが,他の形質とのトレードオフ関係やその遺伝基盤を調べた研究は少ない.加えて,捕食回避の成功には生息環境も影響すると考えられる.本研究では,逃避行動と生息環境の違いを調べて,これらの関連性を明らかにすることを目的としている.また,逃避行動とトレードオフ関係にある行動および生活史形質を明らかにしたい. 本年は,①これまでにヒメシュモクバエの生息を確認していた渓流域での逃避行動の野外調査,②ヒメシュモクバエの生息する新たな渓流域の開拓,③新たなヒメシュモクバエ地域個体群の採集と逃避行動の野外調査,④ヒメシュモクバエを捕食する可能性のある天敵の観察(一部,採集)などを行った.①について,ヒメシュモクバエの生息数が非常に少ない1つの渓流域を除き,各渓流域における逃避行動を計測できた.②について,新たに7つの渓流域でヒメシュモクバエの生息を確認することができた.③について,7つのうち5つの渓流域については,室内で飼育が可能になった.残りの2つの渓流域については,採集した個体がすべてオスであったため,維持できなかった.7つの渓流域の内,3つの渓流域については野外における逃避行動を計測できた.④について,トンボ,ハエトリグモ,捕食性ハエ目昆虫を観察し,一部のハエトリグモを採集した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,まん延防止等重点措置が実施されていたため,予定していたよりも少ない回数の野外調査しか行うことができなかった.同様の理由から,調査に適した時期の調査出張も行いにくい状況にあった.このような状況にはあったが,新たに7つのヒメシュモクバエ地域個体群の採集を行うことに成功し,その内5個体群は室内で累代飼育することが可能になった.これらの個体群については,現在実験に利用するために増殖させている段階である.そのため(2)おおむね順調に進展している。の区分とした.
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様に,野外調査が制限される可能性がある.感染の縮小時期を確認し,まん延防止等重点措置等が実施されていない期間に野外調査をこまめに行う予定である.感染拡大の時期においては,これまでに室内での飼育が可能になった個体群について,個体数を確保して室内での行動実験を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,まん延防止等重点措置が実施されていたため,予定していたよりも少ない回数の野外調査しか行うことができなかったから.
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