研究課題/領域番号 |
21K15176
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
木村 由莉 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (50759446)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脊椎動物化石 / 進化古生態学 / 中新世 / 化石類人猿 / 小型哺乳類 / 安定同位体 |
研究実績の概要 |
本研究では,化石類人猿と一緒に出土することが多い小型哺乳類化石を指標動物として着目し,(1)飼育実験を基に食性および環境指標となる同位体比の分別係数について普遍的なモデル式を組み立て,(2)中新世中期から後期(=新第三紀の最温暖期から寒冷乾燥化へと向かう重要な時代)に生息した化石類人猿の古環境を復元することを目指している.本年度は飼育実験のセットアップそして化石産地の年代を決定するために哺乳類化石の分類を整理した. (1)について 配合材料ごとに同位体分析できるように小動物の世代継続という飼育管理に見合った原料を調合し固形飼料を作った.これにより既製品固形飼料では実際に消化吸収された物を断定することができないという欠点を克服できるはずである.小動物3種の飼育を開始し,消化吸収をモニタリングするために生後6日から80日にかけて呼気を採取し分析を実施した. (2)について スペイン・カタルーニャ州のスビラットにある化石産地は1990年代に発見・発掘された以降研究が中断しており,産出した哺乳類化石の分類や産地の詳しい年代が不明確のままであった.本年度はこれまでに得られている化石の分類を進め,さらには古地磁気の解析を行った.その結果,化石産地の年代が中新世の最温暖期であることがわかり国際誌にまとめ受理された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飼育実験とそれに関連した呼気分析については計画通りに実施することができた.また海外研究機関との連携も順調である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は歯エナメルおよび原材料の同位体分析を進め,同位体分別係数を求める.さらに化石種の分類整理を継続しデータベース化してから分析するサンプルを選別する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,コロナ感染防止対策の状況下のため,海外研究機関での分析が困難となった.
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