研究課題/領域番号 |
21K15178
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
保坂 孝史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00847890)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / バイオマーカー / RNA編集 / GluA2 mRNA Q/R部位 |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は根本的な治療法はなく、また治療法の開発に必須である診断および治療モニタリングを可能にするバイオマーカーすら存在しない。そこで本研究は、体液中に存在する中枢神経由来のGluA2 mRNAのQ/R部位の編集率を測定し、運動ニューロンでのADAR2の発現量低下を同定し、孤発性ALSの診断および治療モニタリングのバイオマーカーの開発を目標とする。本年度は、髄液中のGluA2 mRNAのQ/R部位の編集率が孤発性ALSのバイオマーカーになり得ることを見出した。具体的には、中枢神経由来と思われる髄液中のGluA2 mRNAのQ/R部位の編集率を測定し、孤発性ALS群では非ALS群と比較し、有意に編集率が低下していた。また、種々の臨床パラメーターとの相関も検討し、編集率が低下している孤発性ALS患者では、罹病期間が長く、有意にALSFRS-Rが低下しており、その中でもGross motor functionで有意な低下を認めた。しかしながら、初発症状、他のALSFRS-Rスコア(fine motor function、bulbar function、respiratory function)、呼吸器機能には有意な差は認められなかった。また、髄液中に存在する総RNA量の比較も行ったが、孤発性ALS群、非ALS群で有意な差は認めず、ALSFRS-Rを含む臨床パラメーターとの相関は認められなかった。既に報告されている血清中よりICAM-1を用いて免疫沈降を行いた中枢神経由来のエクソソーム抽出は可能になってきたが、その中に含まれるGluA2 mRNAの検出は難航しており、今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
髄液中のGluA2 mRNA Q/R部位が孤発性ALSの診断バイオマーカーになり得ることを証明し、Journal of Neurology, Neurosurgery, psychiatryにacceptされた。また、ICAM-1抗体を用いた方法で血清中の中枢神経由来エクソソームを抽出する方法は確立しつつあるも、GluA2 mRNAの同定はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
髄液中のGluA2 mRNAのQ/R部位の検出精度を上げた測定方法を確立し、より大多数のサンプルで行い、編集率低下がもたらす臨床的特徴の解明も続ける。また、血液中の中枢神経由来エクソソームからのGluA2 mRNAの検出法も確立していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は髄液中のGluA2 mRNA Q/R部位の編集率の成果をまとめた論文作成、reviseに時間を割いたために、消耗品などの費用が当初よりも少なくなった。
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