PV-FS細胞―錐体細胞間では相互に結合する細胞同士が共通入力を受けることが知られ、これらの相互結合は大脳皮質の情報処理機能において重要な構成単位であることが考えられる。本研究では、この相互結合が互いに結合強度の均衡を保持していること、その均衡には感覚経験や正常な神経活動やNMDA受容体の関与が必要であることを明らかにした。これらの結果は、PV-FS細胞―錐体細胞間神経回路の機能成熟には結合均衡の形成や保持が重要であるという視点を新たにもたらすものである。抑制性神経結合の機能は、自閉症や統合失調症などの精神神経疾患への関連が示唆されており、これらの疾患メカニズムの理解にも貢献する可能性がある。
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