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2021 年度 実施状況報告書

新規オリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K15197
研究機関自治医科大学

研究代表者

長内 康幸  自治医科大学, 医学部, 助教 (90758004)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードAAV / 狂犬病ウイルス / 遺伝子発現リーク
研究実績の概要

新規オリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法の開発において障害になるのは、意図しない遺伝子発現(リーク)である。我々はまずこのリークの原因を突き止めるため、リークの量をモニターできるベクター(CAG-lox-STOP-lox-GeneA-P2A-GeneB)を作製した。解析を行った結果、P2A配列の後ろ側(3’側)の遺伝子がリークし、5’側の遺伝子はリークしないことが分かった。GFP, mCherry, DTR, ArchTなど様々な遺伝子を試してもこの傾向は変わらず、P2Aの3'側にある遺伝子は種類に関わらずリークすることが分かった。リークを減らすための方法としてP2AベクターなどBicistronicベクターを使わず、それぞれの遺伝子を独立して発現するようなベクター(例えば CAG-lox-STOP-lox-GeneAベクターとCAG-lox-STOP-lox-GeneBベクターをmixして導入する)を使用した場合にはリークは減ることが分かった。また我々はP2A配列の直下に2つ目のlox-STOP-loxを配置したベクターを作製し、リークを劇的に減らすことに成功した。最後に我々は、一般的に使われている発現誘導型複数遺伝子発現ベクターにおいても3’側遺伝子のリークが存在することを確認し、3’側遺伝子のリークは一般的な現象であり、プロモーターの種類の関わらずリークが発生することを明らかにした。本研究の成果は今後の発展が期待されている遺伝子治療やiPS細胞などを用いた再生医療などの戦略を考える際に重要な知見になると考えられる。本研究成果は2022.4.23日にBioRxivに掲載されたdoi: https://doi.org/10.1101/2022.04.23.489261。
今回の研究で、リークの無い遺伝子発現ベクターを決定できたため、令和4年度は実際にウイルスベクターを用いてオリゴデンドロサイト-神経軸索の同時標識を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

狂犬病ウイルス及びAAVを用いた手法で視覚遮断後のオリゴデンドロサイト(およびそれが形成する髄鞘)の形態変化を明らかにすることが出来た。この研究は現在論文投稿中である。
新規オリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法はリークにより目的の細胞種以外の細胞が標識されてしまうと失敗してしまう。本年度中に遺伝子リークの原因を特定できたため、来年度は新規オリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識を実際に行う。

今後の研究の推進方策

大臣確認の審査が終わり次第弱毒化狂犬病ウイルスを用いたオリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識を試みる。将来的には自治医科大学でのウイルス作製を試みるが、予備実験では他研究所から信頼性の高い弱毒化狂犬病ウイルスの供与を受け研究をおこなう。本研究によりオリゴデンドロサイト-神経軸索同時標識法の開発が行われれば、オリゴデンドロサイトがどのように運動学習や長期学習に関わるかが明らかになる可能性が高い。

次年度使用額が生じた理由

令和四年度にウイルスベクター調整用の大型遠心機を購入予定であり、その購入予算として今年度の使用金の一部を取置いた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] モナッシュ大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      モナッシュ大学
  • [雑誌論文] 5′ transgenes drive leaky expression of 3′ transgenes in inducible bicistronic vectors2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuyuki Osanai, Yao Lulu Xing, Kenta Kobayashi, Jihane Homman-Ludiye, Amali Cooray, Jasmine Poh, Nobuhiko Ohno, Tobias D. Merson
    • 雑誌名

      BioRxiv

      巻: 0 ページ: 1-51

    • DOI

      10.1101/2022.04.23.489261

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 視覚遮断マウスにおける髄鞘形態の解析2022

    • 著者名/発表者名
      長内康幸、バッツルガ バトプレブ、山崎礼二、山本真理子、幸喜富、矢田部恵、小林憲太、上野将紀、水上 浩明、篠原良章、吉村由美子、大野伸彦
    • 学会等名
      日本ミエリン研究会
  • [学会発表] Myelination in visual pathway is modulated by relative neuronal activity between eyes2022

    • 著者名/発表者名
      長内 康幸、バッツルガ バトプレブ、山崎 礼二、山本 真理子、幸喜 富、矢田部 恵、小林 憲太、中村 由香、上野 将紀、水上 浩明、篠原 良章、吉村 由美子、大野 伸彦
    • 学会等名
      日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] Oligodendrocytes form normal myelin in the visual pathway when all axons are derived from deprived eyes2021

    • 著者名/発表者名
      Yasuyuki Osanai, Batpurev Battulga, Reiji Yamazaki, Mariko Yamamoto, Tom Kouki, Megumi Yatabe, Hiroaki Mizukami, Masaki Ueno, Kenta Kobayashi, Yumiko Yoshimura, Yoshiaki Shinohara, Nobuhiko Ohno.
    • 学会等名
      神経化学会
  • [学会発表] 視覚伝導路における神経活動に依存した髄鞘形成機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      長内 康幸, バッツルガ バツプレブ, 山崎 礼二, 山本 真理子, 幸喜 富, 矢田部 恵, 水上 浩明, 上野 将紀, 小林 憲太, 吉村 由美子, 篠原 良章, 大野 伸彦
    • 学会等名
      日本組織細胞化学会
  • [備考] 自治医科大学組織学部門ホームページ

    • URL

      https://www.jichi.ac.jp/histology/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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