研究課題
若手研究
大脳皮質感覚野の第4層にはモジュール(単位回路)の並列構造が存在し、感覚情報の高解像度での識別を可能にする。本研究では、マウス体性感覚野においてヒゲ触覚情報処理を担う「バレル」モジュールをモデルとして、生後発達期のモジュール構築に寄与する細胞の動きを可視化するためのin vivoイメージング手法およびデータ解析法の開発を行った。長期in vivoイメージングを用いて、単一神経細胞の動態を生体脳内で3日間にわたり追跡することに成功し、得たデータをもとにモジュール構築過程の細胞動態の解析を進めた。
神経科学
大脳皮質感覚野における機能的モジュールは、感覚情報の混線を防ぎ、高解像度な情報識別を可能にする。したがって、モジュールの構築機序を解明することにより、新生児期の神経活動依存的な脳機能発達、およびその破綻が引き起こす感覚失調の、神経回路レベルでの理解進展が望める。本研究で開発した神経細胞動態追跡のための生体イメージング技術およびデータ解析法は、生後発達期の大脳皮質内で個々の神経細胞が個別のモジュールに適切に組み込まれていく仕組みの解明に貢献することが期待される。