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2021 年度 実施状況報告書

視床下部-延髄を接続する中枢神経操作による抗肥満作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15206
研究機関北海道大学

研究代表者

伊澤 俊太郎  北海道大学, 獣医学研究院, 特別研究員(PD) (30897632)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード視床下部 / 抗肥満 / エネルギー消費 / MCH神経
研究実績の概要

視床下部はエネルギー代謝の中枢として機能する。これまでの研究から、視床下部外側野の細胞が産生するメラニン凝集ホルモン(MCH)がエネルギー消費を抑制する機能を持つことが知られているが、その神経メカニズムについては解明されていなかった。
トランスジェニックマウス(MCH-tTA; tetO YCnano)を用いてMCH神経の軸索を蛍光標識したところ、延髄縫線核への投射を特定した。延髄縫線核は褐色脂肪組織を支配する交感神経のプレモーターニューロンの存在が知られており、熱産生やエネルギー消費に強く関係する。野生型マウスを用いて寒冷刺激を行うと延髄縫線核で神経活動の指標となるcFos陽性細胞数が2.5倍程度に増加することを確認した。同様の延髄縫線核におけるcFos標識をMCH神経脱落マウス(MCH-tTA; tetO DTA)において検証したところ、室温環境にも関わらず有意な陽性細胞数増加が確認され、MCH神経脱落に伴い延髄縫線核の活動が活発化していることが分かった。
以上より、MCH神経は延髄縫線核に抑制性の入力を送っており、エネルギー消費の節約に寄与していることが示唆された。これまでの申請者の研究で、MCH神経脱落マウスではエネルギー消費が増加し体重が低下すること、さらに重量低下は脂肪組織に特異的で褐色脂肪組織についてはUCPI発現量が増加し、交感神経活動の指標となるTH発現も高まることが示されている。これらの結果を論文としてまとめ、本年度のThe Journal of Physiology誌に受理・掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

cFos陽性細胞の標識時の免疫染色について、複数の会社製の抗体を条件検討したところ、感度/特異度ともに優れた製品を見出すことができた。これにより、当初の想定以上に明瞭に延髄縫線核の活動変化を捉えることができた。
また、論文投稿に際しては仮性狂犬病ウイルスを用いた神経経路特定に強みのある研究者によってMCH神経から褐色脂肪組織交感神経に至るまでの神経経路が逆行性に標識された。延髄縫線核を介した経路について解剖学的にも明らかにでき、共同研究として論文投稿ができたことからスムーズな受理に至った。

今後の研究の推進方策

視床下部外側野にはMCH神経と同程度の数のオレキシン神経が局在している。オレキシン神経はMCH神経とは反対にエネルギー消費を高める機能を持つと考えれらているが、メカニズムの詳細は明らかになっていない。オレキシン神経に関してもエネルギー消費制御メカニズムを検証することでMCH神経との相互バランス、ひいてはエネルギー恒常性を保つ機構の全体像に迫ることを目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Melanin‐concentrating hormone‐producing neurons in the hypothalamus regulate brown adipose tissue and thus contribute to energy expenditure2022

    • 著者名/発表者名
      Izawa Shuntaro、Yoneshiro Takeshi、Kondoh Kunio、Nakagiri Shohei、Okamatsu‐Ogura Yuko、Terao Akira、Minokoshi Yasuhiko、Yamanaka Akihiro、Kimura Kazuhiro
    • 雑誌名

      The Journal of Physiology

      巻: 600 ページ: 815~827

    • DOI

      10.1113/JP281241

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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