研究課題
若手研究
本研究は視床下部外側野に局在するメラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)が延髄縫線核の交感神経プレモーターニューロンに抑制性の入力を送り、褐色脂肪組織を支配する交感神経活動を抑制することでエネルギー消費の節約に働くことを明らかにした。本研究成果は2022年2月のThe Journal of Physiology誌に掲載され(J Physiol. 2022 Feb;600(4):815-827.)、日本自律神経学会および日本神経内分泌学会で当該研究内容を発表した。
神経科学
MCH受容体アンタゴニストは抗肥満薬としての可能性が複数の製薬会社から検証され、臨床試験においても効果が確認されている。しかし、抗肥満を誘導する神経メカニズムは不明で、また、悪夢や頻脈といった副作用から現在まで実用化には至っていない。本研究によりMCH神経がエネルギー消費節約に機能する神経回路が明らかになったことで、延髄縫線核をターゲットとし代謝に焦点を定めたMCHブロッカーの道が開ける可能性がある。