リボソーム上で合成された前駆体ペプチドが翻訳後修飾を受けて産生される中分子ペプチド性天然物ネオチオビリダミドの全合成について検討した。天然物中の水酸基を1つ除いたデオキシ体をモデル基質に設定し、光反応による低温条件下での酸化的脱炭酸および生じたラジカル種のセレノエーテルによる捕捉を見出すことで、環状ペプチド骨格内に含まれる(2-アミノビニル)-3-メチルシステイン構造の合成終盤での構築に初めて成功した。別途合成した鎖状チオペプチドフラグメントを活性チオノエステルとすることで、中性条件下で環状ペプチド部と収束的に連結し、デオキシ体の初の全合成を達成した。
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