研究課題/領域番号 |
21K15230
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
秋山 敏毅 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (80897728)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 形式全合成 / フタラン / 酸化 / イソベンゾフラン / Diels-Alder反応 / リングジオール |
研究実績の概要 |
はじめに、当研究室で開発したフタラン誘導体を基質とする酸化/分子内Diels-Alder連続反応の有用性を示すためにリングジオールの合成研究に着手した。文献既知化合物であるベンズアルデヒド誘導体にリチオ化したビニルエーテルを付加し、生じたアルコキシドを系中でメシル化するとフタラン誘導体が生成することを見出した。当初は生成物からエーテル交換とClaisen転位によって酸化/付加環化前駆体を調製しようと試みたが、目的物は得られなかったことから合成計画を変更した。フタランを構築した後、NBSを加えてから加水分解を行うとα-ブロモケトンが得られた。続いて、可視光レドックス触媒を用いてアリルスルホンによるアルキル化を行い、望みの化合物をアルデヒドからわずか2工程で調製することに成功した。得られた酸化/付加環化前駆体を用いて鍵反応を行ったところ、完璧なエンド選択性で望みの四環性化合物が得られた。現在、ヨウ化サマリウムを作用させてサマリウムエノラートとした後、ホルムアルデヒドとのアルドール反応とラクトン形成を検討しており、形式合成を完了する予定である。 リングジオールの合成研究と並行して酸化/付加環化連続反応の触媒化の検討も行った。これまで酸化剤として用いてきた化学量論量のp-クロラニルの代わりにブロモトリクロロメタンを再酸化剤として可視光レドックス触媒を作用させると、望みの付加環化生成物が中程度の収率ではあるが得られることがわかった。今後は、反応条件の精査と基質適用範囲の検討を行うとともに、反応機構の解明も進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
酸化/付加環化前駆体の調製で合成計画を変更して時間を要したため、リングジオールの形式合成を達成していないから。
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今後の研究の推進方策 |
リングジオールの形式合成を達成したのち、残る標的化合物の効率的な全合成を目指して研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会などがオンラインで行われたため、交通費や宿泊費がかからなかった。令和4年度交付分と合わせても計画調書に書いた金額に満たないことから、引き続き無駄な支出をしないよう努めつつ、計画調書に沿って研究を進める。
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