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2021 年度 実施状況報告書

マトリックスクラスターの脱溶媒和促進によるMALDI検出感度向上に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K15242
研究機関新潟薬科大学

研究代表者

城田 起郎  新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (20714900)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードMALDI / 脱溶媒和 / マトリックスクラスター / 質量分析
研究実績の概要

今年度は、主に以下の2項目について研究を実施した。
(1)紫外レーザーポストイオン化(PI)法を用いたMALDI法における相爆発過程の検証:
MALDI結晶へのレーザー照射により生成するプルーム中の分子には、特に相爆発過程に関するあらゆる情報が含まれていると推測される為、MALDI法を用いた試料検出感度の向上を目指す上で、これらの情報を把握することは極めて重要である。このような背景から、MALDI法におけるマトリックス剤DHB結晶から生成したプルームを紫外レーザーによりPIし調査したところ,プルーム中の中性DHB分子の内部エネルギーと熱分解に関する指標となる信号を同時に測定することに成功し、プルームの後方部分がMALDI過程における相爆発を引き起こしていることが明らかとなった。
(2)MALDI-IR-MS装置の立ち上げと赤外(IR)レーザーによるマトリックスクラスター(Mn)の脱溶媒和促進の検証
Mnの脱溶媒和を促進する為に用いるPI光源であるIRレーザーには、既設Nd:YAGレーザー光(1064nm)を用いたほか、脱溶媒和に最適な波長のレーザ光を照射できる波長可変レーザーを新設し、既設のMALDI-MS装置を活かしMALDI-IR-MS装置を立ち上げた。一方、先行研究により、Mnの脱溶媒和が促進していれば、IRレーザー強度が強くなるに従って生成するプロトン化試料の信号強度が強くなると推測され、ブラジキニン/CHCA混合結晶を用いて、IR光源の波長や強度、レーザー間遅延時間等の条件を変えて実験したが、現時点では、そのような傾向が観測されていない。これは、プルーム中のイオン種が中性種と比較し極めて小さいことによるものであり、Mnからの中性試料の脱溶媒和自体は促進している可能性がある為、次年度は、これらの中性試料を真空紫外光によりイオン化検出し試料検出感度の向上を目指す予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、MALDI-IR-MS装置を立ち上げることが出来た一方で、ポストレーザーとして設置した赤外レーザー照射によるマトリックスクラスターからのプロトン化試料イオンの脱溶媒和促進を確認できる実験結果が得られていない為、総合的に判断し、「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、申請内容の計画に従い、以下のように遂行していく予定である。
(1)MALDI-IR-VUV-MS装置の立ち上げ
現時点では、赤外レーザー照射によるマトリックスクラスター(Mn)からのプロトン化試料イオンの脱溶媒和促進を確認できる実験結果が得られていないが、これは、プルーム中のイオン種が中性種と比較し極めて小さく、Mnからの中性試料の脱溶媒和自体は促進している可能性がある為、MALDI-IR-MS装置に独自製作した真空紫外(VUV)光発生用チェンバーを設置し、MALDI-IR-VUV-MS装置を立ち上げ、試料のMnからの脱溶媒和を促進し、脱溶媒和した中性試料を真空紫外光一光子イオン化により検出することを試みる。また、VUV光発生に用いる予定のNd:YAGレーザーは現在稼働が出来ない状況であるが、今年度に修復できる目途がたった為、必要な部品等交換し、稼働が停止しているNd:YAGレーザーを復旧させ用いる。
(2)MALDI-IR-VUV-MS法を用いたMn内部から脱溶媒和した中性試料のイオン化検出
MALDI-IR-VUV-MS装置を用いて、VUVレーザー光照射による試料由来イオン信号が最も強くなるよう、脱離レーザー、IRレーザー、VUVレーザー間の遅延時間を最適化し、通常のMALDIイオンとして検出されるプロトン化試料と、VUVレーザー光照射により検出された試料由来イオン信号を比較し、MALDI法とMALDI-IR-VUV-MS法の試料検出感度を比較し検証する。なお、MALDI-IR-VUV-MS法を用いても、Mnからの試料の脱溶媒和を確認できる実験結果が得られなかった場合は、IRレーザー光として再生増幅近赤外フェムト秒レーザー光を用いること等も検討する。

次年度使用額が生じた理由

MALDI-IR-MS装置を用いて実験を行う際に、所属機関に備蓄のあったMALDIマトリックス剤や試料を優先的に用いた為、結果として残額(40,890円)が生じた。この残額は、次年度予算と合わせて、試料等の購入費や、Nd:YAGレーザー装置内の水フィルター交換費用等に用いる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] MALDI機構における相爆発過程の検証:紫外レーザーポストイオン化によるアプローチ2022

    • 著者名/発表者名
      城田起郎、星名賢之助
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会

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公開日: 2022-12-28  

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