研究課題/領域番号 |
21K15248
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
太田 悠平 崇城大学, 薬学部, 助教 (70881407)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ESR |
研究実績の概要 |
酵素の作用でレドックス応答分子を放出するプローブを開発し、生体計測用電子スピン共鳴 (in vivo ESR)法および磁気共鳴画像化法(MRI)を駆使して、非侵襲的にレドックス情報を得る系を確立する。そのために本年度は、酵素によって切断される部位と環状ヒドロキシルアミンを含むプローブの合成を行なった。当初、ニトロキシドを還元し、ヒドロキシルアミンに変換させた後、ベンジル位に脱離基を有する基質と反応させることで、目的物を合成しようと試みた。しかしながら、その合成法では全く反応しないか、基質が壊れるかで目的物を得ることができなかった。また、分子設計を変更し、ヒドロキシルアミンを炭酸エステル、カルバミン酸エステル様の構造で結合させた化合物を合成したが、最終生成物が不安定であり、合成には至らなかった。当初のヒドロキシルアミンをSN2反応でアルキル化する方法ではなく、ニトロキシドと臭化物をカップリングさせ、結合させる方法を模索した。いくつか合成方法を検討する中で、銅および適切なリガンド存在下、六員環ニトロキシドおよび酵素切断部位を有する臭化ベンジル誘導体を反応させることで、収率が低いながらも目的物を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までに目的化合物を合成し、酵素を用いたin vitroの実験まで終えて、本年度から細胞実験を行うことを予定していた。しかしながら、予想以上に目的化合物の合成法の検討に時間を要し、また少量しか得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
少量ではあるが目的物を合成できることがわかったため、スケールアップを行い、十分量の化合物を得る。また、いくつかのニトロキシドを用いて、見出した反応条件でいくつかの誘導体の合成を試みる。合成したいくつかの誘導体で、酵素を用いたin vitroの実験を行う。目的の機能を有することが明らかとなれば、細胞系への適用も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していたよりも合成に時間を要し、本年度の実験が合成実験のみとなり、in vitroでの実験を行えなかったため。 次年度では、本年度にできなかった合成実験のための試薬やin vitroの実験に用いる酵素など消耗品に充てる。
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