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2023 年度 実績報告書

ヒストン修飾酵素の翻訳調節を介したポリアミンによる遺伝子発現制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15258
研究機関星薬科大学

研究代表者

坂本 明彦  星薬科大学, 薬学部, 助教 (10737290)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒストン修飾 / ヒストン脱メチル化酵素 / ポリアミン / 翻訳 / 遺伝子発現
研究実績の概要

ヒストン修飾異常は、ヒストン修飾酵素の発現や活性の異常に起因し、がんや生活習慣病などの疾病との関連が報告されている。しかし、ヒストン修飾酵素を制御する明確な因子は見つかっておらず、根本的な解明には至っていない。研究代表者は、ヒストンアセチル化に着目し、細胞増殖促進因子ポリアミンがヒストンアセチル化酵素を翻訳レベルで制御することを明らかにし、ポリアミンをヒストン修飾酵素の制御因子として提唱した。本研究では、ヒストンメチル化におけるポリアミンの効果を検討した。
ポリアミン減少細胞を調製し、ポリアミンによるヒストンメチル化レベルを比較した結果、ポリアミンがヒストンメチル化を減少させること、ヒストン脱メチル化酵素JMJD2A、JARID1C及びUTXの発現が翻訳レベルで有意に増加することを見出した。ポリアミンによるヒストン脱メチル化酵素翻訳制御機構を解明するため、各mRNAの一部をEGFP遺伝子に繋げたプラスミドを作製した。また、部位特異的変異導入法により変異させたプラスミドを作製し、EGFPの発現量から各mRNAにおけるポリアミン作用部位を同定した。さらに詳細に解析したところ、JMJD2A mRNAにおいてポリアミンがG-quadruplex構造の形成を阻害することで、JMJD2Aを発現促進することが明らかとなった。JARID1C mRNAでは5'-UTRに2つのヘアピン構造が認められ、1つのヘアピン構造にポリアミンが作用し、構造変化を引き起こすことで、JARID1Cの発現を促進することが明らかとなった。一方、UTX mRNAの5'-UTRは長くポリアミン作用部位に翻訳を負に制御する特徴が認められなかったため、詳細な解析を継続している。
これらの結果から、ポリアミンがヒストン脱メチル化酵素を翻訳レベルで発現促進することで、ヒストンメチル化を制御することが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Caldomycin, a new guanidopolyamine produced by a novel agmatine homocoupling enzyme involved in homospermidine biosynthesis.2024

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Sakamoto A, Hisano T, Kashiwagi K, Igarashi K, Takao K, Uemura T, Furuchi T, Sugita Y, Moriya T, Oshima T, Terui Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 14(1) ページ: 7566

    • DOI

      10.1038/s41598-024-58296-0.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transient Receptor Potential Ankyrin 1 (TRPA1) Channel Mediates Acrolein Cytotoxicity in Human Lung Cancer Cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto A, Terui Y, Igarashi K, Kashiwagi K.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 24(14) ページ: 11847

    • DOI

      10.3390/ijms241411847.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Putrescine Biosynthesis from Agmatine by Arginase (TtARG) in Thermus thermophilus.2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Sakamoto A, Kashiwagi K, Igarashi K, Takao K, Uemura T, Moriya T, Oshima T, Terui Y.
    • 雑誌名

      J Biochem.

      巻: 174(1) ページ: 81-88

    • DOI

      10.1093/jb/mvad026.

    • 査読あり
  • [学会発表] Thermus thermophilus のホモスペルミジン生合成に関与する新規アグマチン ホモカップリング酵素の同定2023

    • 著者名/発表者名
      小林照幸、坂本明彦、久野玉雄、柏木敬子、五十嵐一衛、高尾浩一、植村武史、古地壯光、杉田義昭、森屋利幸、大島泰郎、照井祐介
    • 学会等名
      日本ポリアミン学会第14回年会
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/cis

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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