RNF183を過剰発現させたHEK293細胞においてRNF183の基質タンパク質として同定したNKCC1について、他の細胞においても検証を行った。大腸由来細胞であるCaCo2細胞と内在性Rnf183の発現が確認できているマウス腎髄質集合管由来細胞であるmIMCD細胞において検証したところ、HEK293細胞と同様にRNF183によってNKCC1のリソソーム分解が促進されることが分かった。また、RNF183を過剰発現させたHEK293細胞においてオートファジーに関連する分子ATG5、Beclin1それぞれをノックアウトした際のRNF183によるNKCC1の分解抑制について検証したが、抑制は認められなかった。これより、RNF183によって内在化したNKCC1がオートファジーのマーカーであるp62と一致していたのは、オートファジーとは違う機構、もしくはATG5やBeclin1非依存的な新たな分解機構であることが示唆された。組織レベルでのRNF183の基質タンパク質同定を目指したビオチンリガーゼBioID2をRNF183遺伝子にノックインしたBioID2ノックインマウスの作製は完了し、今後解析を進めていく。また、培養細胞においても発現特異性を示すユビキチンリガーゼの解析のために、ポリユビキチン鎖に高い親和性を持つTUBEを発現させた細胞を構築した。
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