研究課題/領域番号 |
21K15277
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 淳平 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (30897583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストア作動性カルシウム流入 / 心不全 / 選択的スプライシング |
研究実績の概要 |
心不全患者では心筋細胞内カルシウムイオン濃度が上昇していること、そして増加に伴い心機能の悪化を惹起しているためカルシウムイオン濃度を調節するタンパク質を標的とした創薬が心機能改善に有効である。本研究では、カルシウムイオンを貯蓄する小胞体のカルシウムイオンの枯渇により流入を引き起こすストア作動性カルシウム流入に着目し、その構成タンパク質であるSTIM2とそのスプライシング機構を調整することによりカルシウム流入を微調整できるような心不全治療薬の開発を目指す。 初年度は、Stim2のスプライシング変化に注目し、横行大動脈縮窄術(TAC)によりマウスの心臓に圧負荷をかけて心不全を誘導する心臓圧負荷モデルを作製し、Stim2スプライス変異体の発現が変化するかを検討した。選択的スプライシングの変化をRT-PCRおよびリアルタイムPCRを用いて解析した結果、心臓圧負荷モデルにおいて有意に変化していることが確認された。次に、STIM2.1およびSTIM2.2の発現をAAV(adeno-associated virus) を用いてノックダウンさせ、心不全の進行に変化が見られるかを超音波診断法(心エコー)や組織重量、ウェスタンブロット法などにより確認した。その結果、AAVによるStim2の発現を低下させたマウスに心臓圧負荷を加えるとコントロール群と比較してより心機能が悪化することが明らかとなった。さらに、AAVを用いSTIM2.1およびSTIM2.2の発現を増加させ圧負荷により誘導される心不全に対する影響を解析したところ、コントロール群に対し変化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス心臓圧負荷モデルにおいてStim2選択的スプライシングが有意に変化していること、またSOCE活性が変化していることを確認した。さらにはマウス心臓内のStim2発現を制御するためにAAVを作製した。このAAVを用いたSTIM2.1およびSTIM2.2の発現抑制を行い、マウス心臓に圧負荷を加えるとコントロール群と比較して心機能が有意に低下することを見出した。さらに、AAVを用いてStim2を心臓において過剰発現させた際の表現型の解析もほぼ終了しており、心機能とSTIM2を介したSOCE活性の関連の重要性を明らかにした。今後は、心臓圧負荷時に起こるStim2選択的スプライシング機構の解明を目指す。以上より、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は心臓圧負荷時に起こるStim2選択的スプライシング機構の解明するため、Stim2 mRNA上に結合するスプライシング調節因子の同定を行う。同定されたスプライシング調節因子が実際にStim2のスプライス変異体の発現を変化させるかをin vitro系にて確認し、確認後にはStim2 RNA上の結合領域の同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね研究計画通りに進行しているが、動物実験のスケジュールの都合上、Stim2の心臓過剰発現による心機能への影響の解析がわずかに年度を跨ぐ形となり、マウスの購入とAAVの作製に掛かる費用が次年度使用額として発生した。上記の理由のため翌年度開始時に継続して行うため、発生した次年度使用額は次年度の予算と合わせて使用する。
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