研究課題
骨粗鬆症は骨量が減少し骨折の危険性が増大する疾患で、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスが崩れた結果、骨吸収が亢進することが原因とされている。骨吸収を司る破骨細胞は、単球・マクロファージ系細胞が分化して破骨前駆細胞となり、さらに細胞融合して多核化することにより形成される。2013年にRANKLのモノクローナル抗体医薬であるデノスマブが承認されたが、デノスマブが有効でない症例も存在するので、本研究でRANKLを標的とする低分子治療薬の開発を目指した。スクリーニングを行い、真菌Aspergillus taichungensis (IBT 19404)から16種類の新規ジテルペンを単離し、構造活性相関を調べた。最も活性が強かった化合物は、taichunin Gと命名した化合物で、0.2 microMで多核化および細胞融合を92%阻害した。本研究成果は、既にJ. Nat. Prod.に掲載された。また、骨粗鬆症の予防・治療薬のリード化合物の探索に関しては、植物を資源として用いた研究が多いが、海洋生物資源からの探索研究に着目し、総説を執筆した。
2: おおむね順調に進展している
「研究実績の概要」に記載した通り、既に論文化に成功しており、現在、別の目的化合物の精製も行っているので、「おおむね順調に進展している」と判断した。
骨粗鬆症治療薬として有望な化合物の探索を続け、治療・予防薬、あるいは健康食品としての利用を目指す。
発注したプレートの納品が遅れたため。4月早々には入荷予定なので、細胞の培養に用いる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Natural Medicines
巻: 76 ページ: -
10.1007/s11418-022-01622-5
Journal of Natural Products
巻: 84 ページ: 2475~2485
10.1021/acs.jnatprod.1c00486
http://kumamoto-natmed.org/