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2022 年度 実施状況報告書

抗真菌薬アムホテリシンB活性増強剤の標的分子の解析と創薬への展開

研究課題

研究課題/領域番号 21K15284
研究機関北里大学

研究代表者

小林 啓介  北里大学, 薬学部, 助教 (80794734)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアムホテリシンB / 抗真菌 / 感染症 / ケミカルバイオロジー / 天然物化学 / ペプチド
研究実績の概要

本研究は、抗真菌薬アムホテリシンB (AmB) (作用点は真菌細胞膜に存在するエルゴステロールに結合することによる膜障害) の抗真菌活性を特異的に増強する化合物 (それ自身では抗細菌活性、抗真菌活性、細胞毒性は示さない) について、その作用機構の解明、in vivoレベルでの効果の検証を目的に行なっている。本年度も前年度に引き続き、活性化合物ネクトリアチド (構造は環状テトラペプチド) に焦点を当て研究を遂行し、以下に示す進捗結果を得た。1) ネクトリアチドを構成する各種アミノ酸を種々のアミノ酸 (例えばD型アミノ酸など) に置換した環状および鎖状の誘導体を合成し、AmB抗真菌活性増強作用について評価を行なった。本研究結果については、前年度の結果と合わせ特許化の準備を進めている。2) 前年度の結果より、ネクトリアチドは真菌細胞膜脂質成分に作用する可能性が示唆されたのでその検証を進めた。細胞膜を構成する各種リン脂質や各種ステロール類に対するネクトリアチド (およびその誘導体) の親和性を、人工細胞膜リポソームや、疎水性化合物吸着プレートを使用したELISA法により評価した結果、エルゴステロールに親和性を示すことが示唆された。蛍光ネクトリアチド誘導体を合成し真菌を染色したところ、その局在は細胞膜に認められたことからも、これまでの結果は支持された。一方で、哺乳類細胞膜に存在するコレステロールには親和性を示さなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作用機序解析については、ネクトリアチドの有力な標的分子 (結合分子) としてエルゴステロールを特定するに至った。また、ネクトリアチドの誘導体を種々合成しライブラリー化することができた。活性、代謝安定性の観点からin vivo試験に最適な化合物を選定できる準備を整えることができた。

今後の研究の推進方策

作用機序解析については、ネクトリアチドがエルゴステロールに結合することでなぜAmB活性が増強されるのか、その検証を進める。例えば、AmBとネクトリアチド類の併用の有無で真菌細胞膜に結合するAmB量が変動していないか、などをLC-MS等を用いて解析する。In vivo試験に向けて、ライブラリー中の誘導体について、肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験などを行い、AmB増強活性と合わせて、最適な化合物を選定する。選定した化合物について、カイコを用いた簡易in vivo試験や、マウスを用いた動物実験を行い、薬理効果を証明したい。

次年度使用額が生じた理由

研究当初は、標的分子の候補としてタンパク質も考慮に入れていたためLC-MS/MS解析の外部委託費として予算を計上していたが、脂質分子 (特にエルゴステロール) が標的分子として示唆されたことから予算に余剰が生じた。本金は、薬物動態試験に使用する消耗品試薬等の購入、マウスなどの実験動物の購入、論文投稿のための英文構成費や投稿料に充足したいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] なぜnectriatideは抗真菌剤amphotericin Bの活性を増強するのか?2023

    • 著者名/発表者名
      三宅良介、小林啓介、長井賢一郎、西村慎一、供田洋、大城太一
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] 抗真菌剤amphotericin B活性増強化合物nectriatide誘導体に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      三宅良介、小林啓介、長井賢一郎、西村慎一、供田洋、大城太一
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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