研究課題/領域番号 |
21K15286
|
研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
西山 卓志 福山大学, 薬学部, 講師 (00710914)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 抗腫瘍活性 / 構造活性相関 / calothrixin / 電子環状反応 / 縮合複素環 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、『Calothrixin類の化学構造と抗腫瘍活性との関係を解明』する。そのために、calothrixin類の化学構造を変換可能な新たな合成法の開発を検討する。本年度は、(1) calothrixin Bの新規合成法の開発および(2) 新規calothrixin誘導体の合成に成功した(学会報告)。以下に詳細を報告する。これまでの研究において、カルバゾール-1,4-キノンやさらにピリジン環が縮合したエリプチシンキノンの簡便な合成法を開発し、A環に官能基を導入することで抗腫瘍作用が増強することを明らかにした。本年度は、これまで合成したカルバゾール-1,4-キノン誘導体をそのまま活かして合成展開が可能なcalothrixin類の新規合成法の開発を検討した。合成法として、calothrixin類のコア構造は、熱エネルギーを利用した電子環状反応により構築できると考えた。その結果、カルバゾール-1,4-キノンから2工程でインドロ[3,2-j]フェナンスリジン骨格を構築できる反応条件を見出した。これによりcalothrixin Bの全合成達成することができた。上記の合成によりcalothrixin Bのピリジン(D環)部構築に熱電子環状反応が有効であることを明らかにすることができた。そこで、本合成法を用いた新規calothrixin誘導体の合成を試みた。その結果、calothrixinのD環部の構造を変換した誘導体を5種類合成することができた。また、現在、A環部に官能基を持つcalothrixin誘導体の合成を進めている。合成の完了したcalothrixin誘導体については、ヒトがん細胞に対して、スクリーニング試験を行い、その中で見つかった有用な化合物を用いて、作用メカニズムの解明を行なっていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、(1) calothrixin Bの新規合成法の開発および(2) 新規calothrixin誘導体の合成に成功した。これまでの研究において、カルバゾール-1,4-キノンやさらにピリジン環が縮合したエリプチシンキノンの簡便な合成法を開発し、A環に官能基を導入することで抗腫瘍作用が増強することを明らかにした。本年度は、これまで合成したカルバゾール-1,4-キノン誘導体をそのまま活かして合成展開が可能なcalothrixin類の新規合成法の開発を検討した。合成法として、calothrixin類のコア構造は、熱エネルギーを利用した電子環状反応により構築できると考えた。その結果、カルバゾール-1,4-キノンから2工程でインドロ[3,2-j]フェナンスリジン骨格を構築できる反応条件を見出した。これによりcalothrixin Bの全合成達成することができた。上記の合成によりcalothrixin Bのピリジン(D環)部構築に熱電子環状反応が有効であることを明らかにすることができた。そこで、本合成法を用いた新規calothrixin誘導体の合成を試みた。その結果、calothrixinのD環部の構造を変換した誘導体を5種類合成することができた。合成の完了したcalothrixin誘導体については、ヒトがん細胞に対して、スクリーニング試験を行い、その中で見つかった有用な化合物を用いて、作用メカニズムの解明を行なっていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度で成果公表まで達成できなかった研究については、論文公表に向けて推進するとともに、令和4年度の研究についても推進する。本研究の有用性を示すため、合成の完了した化合物については、生物活性評価を行う予定としている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りの支出であったが、一部消耗品が既に所有の物を使用したため、予算より低くなった。次年度はライブラリー構築のため、試薬に多額の予算が必要となるため、消耗品費として補充使用する。
|