研究課題
本年度は、前年度に構築したCYP4F2活性の阻害評価系、CYP4F2高活性タンパク質発現法を用いて薬物・遺伝子多型によるCYP4F2活性に対する影響を検討した。まず、CYP4F2活性を評価するためのin vitro評価系を用いて、薬物によるCYP4F2活性(アラキドン酸ω水酸化活性)に対する阻害作用を評価した。5種類のプロトンポンプ阻害薬(PPI)、6種類のヒスタミンH2受容体拮抗薬、6種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬及び3種類のフィブラート系薬を被験薬としてCYP4F2活性に対する影響を評価した。その結果、2種類のPPI、3種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬と1種類のフィブラート系薬においてCYP4F2活性に対する阻害が認められた。中でも強い阻害が認められた2種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬について、阻害の酵素速度論的解析を行った結果、いずれも非競合型の阻害様式を示した。更に、前年度に構築したCYP4F2高活性を有するタンパク質発現法を用いて、遺伝子多型に由来するCYP4F2バリアント酵素の網羅的解析を行った。その結果、多くのバリアントでCYP4F2活性(アラキドン酸ω水酸化活性)に影響を及ぼすことが判明した。本研究では、CYP4F2活性を生体内物質アラキドン酸の代謝により評価を行ったため薬物代謝において同様の結果が得られるか、また、被験薬の臨床用量において実際に起こり得るか等様々な課題が残っている。そのため、実臨床への活用には更なる検討が必要であると考えられる。
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