研究課題/領域番号 |
21K15305
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
北岡 諭 星薬科大学, 薬学部, 助教 (50824778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジアゼパム / リポソーム / 胎児移行性 |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群は妊婦の7~10%の頻度で発症し、その諸症状の中でも急激な血圧の上昇を伴うけいれん発作(子癇発作)は、脳出血や脳浮腫を併発することで妊婦の生命の危険性を伴う場合がある。そのため、この子癇発作に対して迅速な薬物投与による治療が必要であり、マグネシウム製剤やbenzodiazepine系の抗けいれん薬の一つであるdiazepamが用いられる。特に、子癇発作を繰り返す難治性の症例に対しては、diazepamが第一選択薬となっている。ジアゼパムは、血液-胎盤関門の透過性の低いことから、胎児の発生に影響の少ない薬物であると考えられてきた。しかしながら、これまでに我々は、妊娠中期(E14.5日)のマウスにジアゼパムを投与すると、ジアゼパムの代謝物オキサゼパムが母体から胎児へと移行することを明らかにした。また、胎児におけるオキサゼパムのarea under the curve(AUC)は、ジアゼパムと比較して著しく高い値であった。この胎児中にオキサゼパムが移行した要因として、オキサゼパムが胎児の尿を介し羊水中に移行したことが関連しているのではないかと推察し、詳細に解析した。その結果、胎児中と同様に、オキサゼパムは羊水中に移行しやすいことが明らかになった。また、羊水中のオキサゼパムのAUCは、ジアゼパムと比較して著しく高く、胎児中の結果と同様であった。 以上の背景下、本研究では、ジアゼパムをリポソーム製剤化することにより、母体におけるジアゼパムからオキサゼパムへの代謝やオキサゼパムの母体から胎児への移行及び胎児内蓄積を改善できるのではないかと考え研究を進めている。すでに、ジアゼパム及びその代謝物の定量系は確立済みである。現在は、ジアゼパムのリポソーム製剤化する上で最適な処方を解析している。今後は、最適化したジアゼパムのリポソーム製剤を用いて、薬物動体解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジアゼパムのリポソーム製剤化の最適化に時間を要しているため、当初の予定より遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ジアゼパムのリポソーム製剤化の商法の最適化を進めている。その他の実験準備は整っていることから、早期にジアゼパムのリポソーム製剤を作成し、薬物動体解析に着する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ジアゼパムのリポソーム製剤が完成した後に、薬物動体解析を行う予定であり、その際用いる実験動物代が次年度に持ち越しとなったため、繰越金が発生した。
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