神経障害性疼痛は,触刺激でさえも激烈な痛みとして感じてしまう病的な慢性疼痛疾患である。申請者は近年,生体膜の主要構成成分であるリン脂質の多様性を形成する責任酵素リゾリン脂質アシル転移酵素ファミリーのうち,LPCAT2およびLPCAT3が神経障害性疼痛病態に関わる可能性を見出していた。本研究では,どの細胞種に発現するLPCAT2やLPCAT3が神経障害性疼痛病態に重要であるかを明らかにした。さらに,既承認医薬品ライブラリーを用いた阻害薬スクリーニングによってLPCAT2やLPCAT3阻害薬を探索し,複数の新規阻害薬候補を見出した。今後の新しい鎮痛薬開発の足がかりとなると考えている。
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