研究課題
若手研究
本研究では、がん化学療法に使用する抗がん薬の一つであるシスプラチンにより発症した味覚障害において、味覚障害と味覚舌神経の変性が同時に発生することが明らかとなった。一方で舌の上皮に存在する味覚受容体の発現変化は、同時には発生しないことが明らかとなった。このことから、シスプラチン誘発味覚の発症には、味覚舌神経の変性がより関与する可能性が示された。
医療薬学
抗がん薬によるがん化学療法で発生する副作用の中でも味覚障害は、患者の約半数に現れる主要な副作用であり、患者のQOLの著しい低下させ、治療継続を困難にさせる場合もある。しかし、味覚障害の有効な予防法や治療法は未だ確立されていない。そのためがん化学療法誘発味覚障害の発症メカニズムのさらなる解明および治療戦略の探索が非常に強く望まれている。本研究では、抗がん薬による味覚障害での味覚神経変性の関与の可能性を明らかにした。この結果は新たな予防・治療ターゲットの探索に寄与するのと考えている。