現在の全身的なマルチキナーゼ阻害薬による肝がん化学療法は、5年再発率が80%と非常に高く、再発予防効果の向上のためには、肝がん特異的な治療ターゲット見出し、既存のがん治療に加えて、長期間にわたってがんの進行をコントロールできる治療計画が求められる。上皮間葉転換は、がん細胞が浸潤能や転移能を獲得するための重要なステップであり、肝がん治療の絶好のターゲットとなる。本研究で見出した肝がん細胞の上皮間葉転換調節因子であるPXRは、肝特異的に発現する転写因子であり、そのEMTの抑制作用は、PXRの発現している肝のみで起こると考えられ、全身的なEMTの抑制に伴う副作用発現の懸念もないと考えられる。
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