研究課題/領域番号 |
21K15331
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
井原 大 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40884367)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Sbno1 / AirID |
研究実績の概要 |
本申請研究では申請書に記載の研究計画で実験を実施した。 しかしながら、Nsg1およびNsg2とSbno1のタンパク質間結合は観察されなかった。 下記にその概要を説明する。研究計画では、「HEK293T細胞にNsg1およびNsg2とSbno1を共発現させ免疫沈降(IP)実験を行う。」と記載した。細胞内発現の局在が重複しなかったことに加えて、本実験においても結果は陰性であり、Sbno1とNsg1およびNsg2の結合は認められなかった。その後のタンパク質間相互作用解析であるビアコア解析に進む前に、Nsg1およびNsg2は結合タンパク質から否定された。そこでLC/MSの結果から得られた核に発現するタンパク質に標的を絞り、またPSOPIAというタンパク質のアミノ酸配列からタンパク質間結合を推測するデータベースを用いてタンパク質間結合の推測を行ったところ、Sbno1およびSbno2が高い数値を示した。今後はこれら2つの蛋白質に注目しHEK293T細胞を用いた免疫沈降(IP)実験を行うことで新しいパートナー分子の同定を進めていく。また、現在のLC/MSよりも高感度にパートナー分子をスクリーニングする方法であるAirID法を用いてタンパク質間結合分子の再スクリーニングを実施する。これとLC/MSを組み合わせることによってより精度の高いタンパク質間結合を示す候補を絞り込み、その後のさらなる解析へと進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、Sbno1のニューロン成熟化ならびに神経幹細胞のニューロン産生における機能を追求した。しかしながら、当初予定していたSbno1とOtub1に関しては予想されるような結果は得られなかった。本結果は当初予測された実験結果と大きく異なるものであり、Sbno1のエンドソームにおける機能解析を遂行する上では困難な解釈となった。そのためにSbno1の分子機能を細胞内局在を示す核に絞り込むことによって再度スクリーニングを行い、検討することが必要となった。その結果進捗としては「やや遅れている」に該当する。しかしながら、LC/MSの結果核において発現する分子も複数得られており、これらの解析を進める事で新規パートナー分子を同定できる可能性もある。既に得られているスクリーニング結果を元に解析を進めることができるため、大幅な遅れにはならないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Nsg1およびNsg2は結合タンパク質から否定されたために、他のパートナー分子の探索を実施中する。まず、既に行った大脳皮質を用いたLC/MSの結果から、Sbno1と同様に核に局在を示すタンパク質に標的を絞り込みを行った。その後、タンパク質のアミノ酸配列からタンパク質間結合を推測するPSOPIAデータベースを用いてタンパク質間結合の推測を行った。その結果、Sbno1自身およびサブファミリーに属するSbno2が高い結合予測値を示した。今後、Sbno1のホモダイマーおよびSbno2とのヘテロダイマーに注目しHEK293T細胞を用いた免疫沈降実験を行う。これによりお互いのダイマー形成について検討する。さらに、現在実施したLC/MSよりも高感度にパートナー分子をスクリーニングする方法であるAirID法を用いてタンパク質間結合分子の再スクリーニングをin vitroで実施する。AirID法とLC/MSを重複解析し、より精度の高いタンパク質間結合を示す候補を絞り込みを行う。その後のSbno1の分子機能解析へと進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度にNsg1およびNsg2を標的としたタンパク質間相互作用解析を進める予定であったが、Sbno1とNsg1およびNsg2とタンパク質間結合が否定されたために予定された実験の実施に至らなかったため。
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