研究課題/領域番号 |
21K15332
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉原 圭 九州大学, 医学研究院, 助教 (80875881)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血管周皮細胞 / 3次元地形 / 細胞運動 / 数理モデル |
研究実績の概要 |
血管周皮細胞は,毛細血管等の小血管において血管を覆うように存在する機能的に重要な細胞である.血管周皮細胞の機能や分子間相互作用に関する研究が進展しつつある一方,形態形成機構に関する理解は進んでいない.血管網がつくる3次元地形という観点から,数理モデルと発生生物学・細胞生物学的研究を組み合わせて,血管周皮細胞の組織内分布パターンの形成機構を明らかにすることが本研究の目的である.
本年度は,昨年度に得られた成果をもとに以下のことを明らかにした. (1) 昨年度までにマウス網膜を用いて確立した周皮細胞の組織内分布を評価する画像解析・定量手法を適宜修正・改良を加えながらマウス網膜以外への組織に適用した.その結果,同様の傾向が見られる組織があることを明らかにした.(2) また,数理モデル上で,均一な細胞質の内部に細胞内に異なる物性を持つ核の存在を想定した数値計算を行った.想定した場合もしていない場合と同様に分岐部周辺の地形周辺で細胞運動が大きく変化することを明らかにした.また,化学走性等による方向性を持った細胞運動がどの程度の強さで生じているかが,細胞が分岐部に留まるパターンと分岐部周辺で一旦減速したのち再び動き出すパターンという2つの違いに影響しうることがわかった.(3) さらに,in vitro実験系においても,数理モデルによる予測と同様の分岐部近傍での挙動を培養周皮細胞が示しうることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定内の進捗であるため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に沿って研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響.また,実験に使用する試薬・器具類について当初の想定より効率的な予算執行が可能であり,計算機資源に関しては新規にコンピュータを購入せず数値計算が可能であった.上記の理由により未使用額が生じた.次年度使用額は,実験に用いる試薬・器具類・計算機資源の購入,学会での成果発表等に伴う旅費等にあてる計画である.
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