研究課題
若手研究
終末糖化産物(AGEs)は、加熱調理した食品に含まれ、生体内でも産生される物質であり、高血糖状態や老化に伴い生体内に蓄積する。本研究では、がん細胞自体が血管様構造を形成する血管擬態をAGEsが促進することを見出した。さらに、AGEsは抗腫瘍免疫応答に関わる細胞内シグナルを調節することを示した。これらAGEsによる作用には、AGEsが結合するスカベンジャー受容体が関与していることを明らかにした。
血管、腫瘍、自然免疫
がんの進展や治療応答性に関わる血管擬態の形成や抗腫瘍免疫応答の制御因子としてのAGEsの新しい役割を示した。その機序としてAGEsが作用するスカベンジャー受容体を見出しており、これを切り口にして新たながん治療薬開発の確立に寄与することが期待される。また、生体内のAGEs量は食事を含めた生活習慣と密接に関係することが知られている。本研究成果は、がんの進展と生活習慣を結びつける科学的根拠を示し、生活改善に向けた取り組みの重要性を改めて強調するものである。