研究課題/領域番号 |
21K15361
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小島 佑介 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (90896416)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / CRISPR-Cas / 遺伝子ノックアウト |
研究実績の概要 |
E. coli CRISPR-Cas3システムは任意の配列から一方向に長鎖欠損変異を誘導する事ができる新規国産ゲノム編集ツールである。Cas3はDNAヘリカーゼ活性によりDNAを巻き取りながら移動し、DNAニッカーゼ活性によってDNAを次々と切断していくことで長い欠損変異を誘導すると考えられているが、その欠損変異の長さについては様々である。このCas3システムを精密なゲノム編集ツールとして確立させるには、欠損変異の長さを制御する方法の開発が不可欠であるが、現状ではこれを制御する方法は無い。 そこで本研究はタンパク質障害物を利用し、CRISPR-Cas3による遺伝子欠損領域を制御する技術開発を目標としており、初年度は遺伝子欠損パターン変化の定量法の確立と、この方法を用いて実際に遺伝子欠損パターンの変化がどのように起こるか解析することを目指した。 結果として、ゲノムDNA上の欠損パターンの変化を定量性よく解析できる方法の確立に成功し、様々な条件下においてCas3による欠損変異パターンが変化することを捉えることができた。一方で、同様の条件下でもゲノム上の標的位置を変えた場合では違った変異パターンが観察されることもあり、どのような規則性を持って欠損パターンが変化するのかについてはより詳細な解析が必要である。また、効率の面でも改良の余地がある。 以上の結果を踏まえて、2年目となる2022年度は、どのようにすれば効率よく欠損パターンを変化させられるか、どのような条件の時に予想した欠損パターンを得られるかなどについてフォーカスし、検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は遺伝子欠損パターン変化の定量法の確立と、この方法を用いて実際に遺伝子欠損パターンの変化がどのように起こるか解析することを目指した。遺伝子欠損パターン変化の定量法については、想定以上の感度で確立に成功した。この方法を用いた欠損パターンの解析では、予想に反した欠損パターンが見られたり、効率面で改良が必要な部分もあるが、様々な条件によって欠損パターンの変化を観察することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年度目となる2022年度には、申請時に予定していた実験に加え、上記のように欠損パターンの変化が予想と反していた理由を解明するための実験や、どのように効率を向上させるかなどについて追加で検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で学会がオンラインとなり、旅費が必要なくなったため。また、物品についても定価より安く購入できたため。 繰り越した予算については、次年度は追加の実験の必要性が出てきたため、それに必要な試薬などの購入を行う予定である。
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