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2023 年度 実績報告書

血中代謝物に着目したPD-1阻害薬の効果予測バイオマーカー開発基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K15373
研究機関大阪大学

研究代表者

長谷 拓明  大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (80779926)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード免疫チェックポイント阻害剤 / オミックス / 脂質
研究実績の概要

免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が自らを免疫システムから隠すために使用する免疫チェックポイント分子をブロックし、免疫系ががん細胞をより効果的に認識し排除することを可能にする。この治療法は近年、多くのがん治療に広く応用されているが、奏効率は約20%~30%と限定的である。このため、治療効果を事前に予測し、また治療効果を向上させる方法を開発することが急務とされている。我々は、この問題に対処するため、肺がん患者の血清を用いて代謝物とリン脂質のプロファイルを質量分析を用いて解析した。その結果、特にリゾホスファチジルコリンの血中濃度が抗PD-1阻害剤ニボルマブに対するバイオマーカーとして有望である可能性を見出した。リゾホスファチジルコリンは、細胞膜の構成成分として知られるだけでなく、TRPV2チャネルのアゴニストとしての機能も持ち合わせていることが報告されている。そこで、この作用が免疫応答にも影響を与える可能性を想起し、TRPV2アゴニスト作用を有する既存の高尿酸血症治療薬であるプロベネシドをニボルマブと組み合わせることで、治療効果を向上させる可能性について実験を行った。この併用療法は、マウスモデルにおいて腫瘍の成長を効果的に抑制する結果を示した。この結果から、プロベネシドがニボルマブの効果を高めることに寄与する可能性が示唆され、新たなドラッグリポジショニングの可能性が示唆された。本研究により、ニボルマブの有効性を予測するための新しいバイオマーカーとしてリゾホスファチジルコリンを利用することで治療前に患者の反応性を予測、より個別化された治療計画を立てることを可能とすることでリスクを減らし、患者のQOLに寄与する可能性を示した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を予測する代謝物バイオマーカー探索 ―非小細胞肺癌患者血清の解析によるバイオマーカー候補の選定―2023

    • 著者名/発表者名
      田代敦也、神宮司健太郎、長谷拓明、辻川和丈
    • 学会等名
      第73回 日本薬学会関西支部総会・大会
  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を予測する生体低分子バイオマーカー探索2023

    • 著者名/発表者名
      田代 敦也、長谷 拓明、神宮司 健太郎、辻川 和丈
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会

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公開日: 2024-12-25  

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