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2022 年度 実施状況報告書

リンパ管奇形に対するシロリムス薬事承認を見据えた病理診断基準の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K15384
研究機関独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター)

研究代表者

廣瀬 由美子 (堀由美子)  独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (60528785)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード脈管異常 / リンパ管奇形 / 静脈奇形 / PIK3CA / mTOR / シロリムス
研究実績の概要

脈管異常は、脈管奇形と脈管系腫瘍を含む疾患概念である。脈管異常の多くは良性であるものの、機能面および整容面において患者のQOLを著しく低下させ、しばしば難治性である。近年、リンパ管奇形の病態形成には、PIK3CA (phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase catalytic subunit alpha)遺伝子の変異に起因するPI3K (phosphatidylinositol-3 kinase)/AKT/mTOR (mammalian target of rapamycin)経路の活性化が関与していることが明らかとなった。この経路を標的としたmTOR阻害剤であるシロリムスが難治性リンパ管異常に対して高い効果を示すことが報告され、本邦では世界に先駆けて、薬事承認を目指した第Ⅲ相試験が2019年に終了している(2021年に薬事承認されている)。リンパ管奇形は病理診断により確定されるが、他の脈管異常との鑑別がしばしば困難である。適切に承認薬を使用するためには、脈管異常の正確な分類方法を確立することが急務である。本研究では、ヒトFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)病理検体を用いて、リンパ管奇形の病理診断基準を確立することを目的とする。
本年度は、リンパ管奇形のFFPE病理検体よりDNAを抽出し、PIK3CA遺伝子の全エキソンを対象としたカスタムパネルを用いた次世代シークエンス解析により、PIK3CA遺伝子変異の有無と変異部位を検討した。結果、リンパ管奇形24症例のうち、52%でPIK3CA遺伝子変異が同定され、変異部位はp.E542K、p.E545K、p.H1047Rのhot-spot変異が多く検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、リンパ管奇形症例に対してカスタムパネルを用いた次世代シークエンス解析により、各症例のPIK3CA遺伝子変異を明らかとした。また、現在脈管異常の病理診断に広く使用されている抗体を含めた様々な抗体持ちいた免疫組織化学的染色を行っており、リンパ管奇形の診断に有用な病理診断マーカーを検討している。

今後の研究の推進方策

これまでに、リンパ管奇形(24症例)と静脈奇形(28症例)のFFPE病理検体を用いて、現在病理診断に広く使用されている脈管マーカー(CD31)、リンパ管マーカー(D2-40、Prox1)と血管マーカー(CD34)の抗体を用いた免疫組織化学的染色を行い、血管内皮細胞での発現強度を比較検討してきた。今後、症例数と検討する免疫組織化学染色抗体を増やし、病理組織所見・免疫組織化学的染色結果・遺伝子変異の比較検討から、病理診断マーカーを含めた病理診断方法の確立を目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Pediatric case of acquired progressive lymphatic anomaly treated with sirolimus2023

    • 著者名/発表者名
      Komamizu Sayano、Ozeki Michio、Hayashi Daichi、Endo Saori、Hori‐Hirose Yumiko、Sasaki Satoru、Ohnishi Hidenori
    • 雑誌名

      Pediatrics International

      巻: 65 ページ: -

    • DOI

      10.1111/ped.15497

    • 査読あり
  • [雑誌論文] これからの脈管異常診療において求められる病理診断2022

    • 著者名/発表者名
      堀由美子、森井英一、廣瀬勝俊
    • 雑誌名

      診断病理

      巻: 39 ページ: 247-254

    • 査読あり
  • [学会発表] 脈管奇形の分類-静脈奇形・リンパ管奇形を中心に-2022

    • 著者名/発表者名
      堀由美子
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 3.FFPE検体を用いた、静脈奇形の病理所見・免疫組織化学染色・遺伝子変異の包括的解析2022

    • 著者名/発表者名
      堀由美子, 小関道夫, 森井英一, 廣瀬勝俊
    • 学会等名
      第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会
  • [学会発表] 診断・治療に難渋している左大腿脈管性腫瘍の一例2022

    • 著者名/発表者名
      林大地, 小関道夫, 野沢明文, 遠渡沙緒理, 大西秀典, 加藤充純, 堀由美子
    • 学会等名
      第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会
  • [学会発表] 血管腫血管奇形診療の最新の知見-血管腫・血管奇形の病理-2022

    • 著者名/発表者名
      堀由美子, 廣瀬勝俊, 森井英一
    • 学会等名
      第63回日本脈管学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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