研究実績の概要 |
申請書の実験計画に基づき、平滑筋肉腫細胞株(SK-UT-1, SK-LMS-1, SKN)を用いてATRXを含めたホルモン受容体や上皮間葉マーカーについて発現を検討したところERa, HER2, CDH1, Vimentinについて発現を認めた。そこで、平滑筋肉腫細胞株においていくつかの癌関連miRNAの過剰発現によるERa, HER2, CDH1, Vimentinの発現量変化について検討したところ、miR-367,675の過剰発現により上皮間葉移行が生じていることが推定された。一方で、miR-367とmiR-675は細胞増殖能への影響は乏しかったものの、遊走能、浸潤能に影響していた。そこで、これらの機能に関連する分子群を明らかにするため、標的候補分子についてIn silicoで検索し、miR-367の推定標的候補分子をいくつか抽出し、細胞株を用いてRT-PCR法にて発現を検討したところHIPK3, MYO1B, RAB23遺伝子の発現が認められた。コントロール群とmiR-367pre導入群間で発現量を検討したところmiR-367pre群ではHIPK3, MYO1Bでは全ての細胞株で、RAB23ではSK-LMS-1及びSKNで有意に発現量が低下していた。以上より、HIPK3, MYO1B, RAB23は平滑筋肉腫細胞において発現を認め、さらにmiR-367の推定標的分子であることが判明した。またSK-LMS-1,及びSKNにおいてそれぞれのsiRNAを導入したところRAB23発現抑制によりMYO1Bの発現上昇を認めた。またRAB23またはMYO1B発現抑制によりHIPK3の発現上昇を認めたことからRAB23を上流としてMYO1B, HIPK3の発現を調節している可能性が示唆された。現在はそれぞれの分子の機能が遊走能や浸潤能あるいは細胞増殖能に関連しているかを解析中である。
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