研究課題/領域番号 |
21K15392
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
高原 大志 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50790317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 淡明細胞型腎細胞癌 / TGF-β / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
愛知医科大学病院、淡明細胞型腎癌手術検体約150例において、組織マイクロアレイを作成し、TGF-βをコードする、TGFB1遺伝子発現解析を、RNA-in situ hybridizationにより行った。TGFB1は腫瘍において、有意に尿細管上皮において発現が上昇しており、さらに腫瘍の組織学的グレードとTGFB1発現値は正の相関がみられた。さらに、TGFB1は原発巣と比較して、転移巣により発現値が上昇しており、TGFB1高発現症例は、低発現症例に比較して、有意に無再発期間の短縮が見られた。また、TGFB1高発現症例は、周囲にPD-L1発現細胞を有意に多く伴っており、またリンパ濾胞様構造(Tertiary lymphoid structures)も多く見られた。これらにより、腫瘍細胞のTGFB1発現は淡明細胞型腎細胞癌の進展に大きくかかわっており、また腫瘍細胞により産生されたTGFB1は周囲免疫環境に重要な働きを有することが示唆された。上記研究成果は、Virchows Arch誌、3月号に収載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、腎細胞癌におけるTGF-βの臨床的意義を示すことができた。 また、腫瘍細胞によるTGF-βが周囲免疫環境に影響を及ぼすことを示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
TGFB1高発現症例、低発現症例を比較し、どのような機序が腫瘍細胞におけるTGFB1発現に寄与しているのかを解明する。 具体的には、TGFB1高発現症例とTGFB1低発現症例をrna-seqを行い、pathway解析を行う。 また、STAT3のリン酸化など、TGFB1発現に寄与するとされている既知の機序に関しても免疫染色を行い、評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
TGF-β高発現症例における、発現機序の解明のための解析方法を検討するのに、時間がかかっているため。
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