研究実績の概要 |
最終年度においては、ANXA10と他の胃癌に関わる分子との関係を検討するために、胃癌切除検体127症例のFFPEブロックを収集し、免疫組織化学的に検討を行った。検討した分子は胃癌を粘液形質分類するために必要なMUC2, MUC5AC, MUC6, CD10を行なった。MUC2は40例 (31%)、MUC5ACは59例 (46%)、MUC6は19例 (15%)、CD10は12例 (9.4%)に陽性であった。これを基に胃癌を胃型粘液形質胃癌 (G type)、腸型粘液形質胃癌 (I type)、胃腸混合型粘液形質胃癌 (GI type)、無粘液形質胃癌 (N type)に分類した。G typeは41例 (32%)、I typeは25例 (20%)、GI typeは25例 (20%)、N typeは36例 (28%)であった。今後はANXA10を含め、様々な分子の免疫組織化学的染色を引き続き行い、その相関や予後を検討していく予定である。 研究期間全体を通じて、ANXA10の下流経路に関与する分子を同定するためにANXA10ノックアウト胃癌細胞株を樹立して、遺伝子プロファイルを検討することでRBCK1などの分子を同定することに成功した。また、ANXA10ノックアウト細胞株では5-FU感受性が変化していることが示唆され、それはヒト臨床検体でも支持する結果が得られた。これらは胃癌の新規治療標的を同定していく基盤的成果であると考える。
|