乳癌組織を用いた免疫組織化学にて細胞内小器官への亜鉛の取り込みに関わる亜鉛トランスポーターの発現と,乳癌の悪性度の指標となるいくつかの臨床病理学的因子との間に有意な逆相関が認められた.また,乳癌培養細胞を用いた検討では亜鉛トランスポーターが成長因子のシグナル伝達経路を介して癌細胞の遊走能の抑制に関わることが示唆された.したがって,亜鉛トランスポーターが乳癌の進展において抑制的に働いている可能性が考えられた.また,亜鉛添加により,エクソソーム分泌に関わるタンパク質間相互作用関連因子の発現増加傾向が認められており,亜鉛がエクソソームの分泌に関わる可能性も示された.
|