研究実績の概要 |
Colitis associated dysplasia(CAD)およびcolitis associated carcinoma(CAC)に対するAryl hydrocarbon receptor(AhR)のプロモーター領域のメチル化に関して、免疫染色でAhR陰性だった2例を含む計8例についてメチル化全ゲノムシークエンス解析を行ったが、8例の全例において、AhRのプロモーター領域のメチル化は認めなかった。また、データ解析を進め、CAD, CACのうちいわゆる通常腺腫様の病変に特異的にプロモーター領域メチル化を伴う遺伝子として約20遺伝子を、同様に非通常腺腫様の病変に特異的にプロモーター領域メチル化を伴う遺伝子として約20遺伝子を、それぞれ同定した。多施設共同研究によりCAD, CACの症例数を増やして免疫染色を行う点については、諸般の事情により最終年度のうちに症例の選定・染色などを開始できなかったが、これは今後行う予定である。 研究期間を通じて、AhRがCAD, CACに対するマーカーとして機能すること、GS-IIレクチン染色により示される糖鎖であるterminal βGlcNAcの増加が、Sessile serrated lesion(SSL)およびmicrovesicular hyperplastic polyp(MVHP)とCAD, CACに共通する特徴であることを明らかにした。また、AhR発現低下例を含めてCAD, CACにはAhRプロモーター領域のメチル化は見られないことを明らかにした。
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