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2022 年度 実施状況報告書

低頻度がん関連遺伝子変異と間質性肺炎の病態の関連

研究課題

研究課題/領域番号 21K15404
研究機関横浜市立大学

研究代表者

片岡 俊朗  横浜市立大学, 医学部, 助教 (70896878)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード間質性肺炎 / KRAS
研究実績の概要

間質性肺炎(IP)は原因不明の進行性慢性炎症性疾患であり、IPの病態は不明な点が多く議論が継続されている。近年、抗線維化薬が開発され、早期に線維化を確認することで呼吸状態や自覚症状の悪化を抑制し急性増悪や死亡イベントを減らし得るようになった。そのためIPの病態, 病勢の評価基準が必要とされている。本研究は、IPの新たな判定基準の作成や予後予測といった治療の補助や予後の改善に役立つ指標の作成を目的としている。そのためにIPの病態, 病勢, 発癌性, 予後と、IPの慢性炎症を反映するKRAS VAFの関係を明らかにする。
該当年度は122例のIP症例の肺組織からDNAを抽出し、低頻度(>0.015%)の遺伝子変異を検出, 定量のため、デジタルPCRを用いてKRAS G12V及びG12C変異の頻度と全生存期間との関係を解析した。死亡症例は12例であり、いずれも死因はIP関連であった。結果、KRAS G12V及びG12C変異の両方が検出された10症例は、それ以外の112症例に対して有意に予後不良であるという結果が得られた。Cox比例ハザードモデルを使用した多変量解析により、年齢, 性別, 喫煙歴, 特発性間質性肺炎(UIP) patternの有無で調整した結果、KRAS G12V及びG12C変異の有無及びUIP patternの有無がそれぞれ独立した予後因子であることが示された(片岡俊朗等 第111回日本病理学会学術総会 2022)。これによってIP肺組織におけるKRAS G12V/C変異の有無が、IPの独立した予後因子であると示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

122例のIP症例の肺組織からDNAを抽出し、低頻度(>0.015%)の遺伝子変異を検出, 定量のため、デジタルPCRを用いてKRAS G12V及びG12C変異の頻度と全生存期間との関係を解析した。死亡症例は全症例IP関連死であった。結果、KRAS G12V及びG12C変異の両方が検出された症例は、それ以外の症例に対して有意に予後不良であるという結果が得られた。Cox比例ハザードモデルを使用した多変量解析により、年齢, 性別, 喫煙歴, UIP patternの有無で調整した結果、KRAS G12V及びG12C変異の有無及びUIP patternの有無がそれぞれ独立した予後因子であることが示された(片岡俊朗等 第111回日本病理学会学術総会 2022)。これによってIP肺組織におけるKRAS G12V/C変異の有無が、IPの独立した予後因子であると示された。

今後の研究の推進方策

KRAS G12V及びG12C以外の変異 (G12S, G12R, G12A, G12D, G13D) についても変異と予後について解析を行う。また臨床学的検査結果をうけて近年提唱されているGAPスコア等の指標や組織学的特徴と併せた予後予測指標の作成を目指し、解析を追加する。

次年度使用額が生じた理由

臨床病理学的な特徴と予後変化についてのデータ解析を行う計画であるため。また、RNA発現パターンと予後の関連を調べることを目的に、空間的遺伝子解析等の専門的な解析の委託を行う可能性があるため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Significant accumulation of <i>KRAS</i> mutations in bronchiolar metaplasia?associated honeycomb lesions of interstitial pneumonia2022

    • 著者名/発表者名
      Kataoka Toshiaki、Okudela Koji、Matsumura Mai、Baba Tomohisa、Kitamura Hideya、Arai Hiromasa、Suzuki Takeshisa、Koike Chihiro、Mutsui Hideaki、Sekiya Motoki、Sugiyama Misaki、Takemura Tamiko、Iwasawa Tae、Ogura Takashi、Ohashi Kenichi
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 24 ページ: 1,7

    • DOI

      10.3892/ol.2022.13346

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 間質性肺疾患の病変部におけるKRAS点突然変異と生命予後との関係2022

    • 著者名/発表者名
      片岡 俊朗, 岩下 広道, 松村 舞依, 三井 秀昭, 鈴木 健久, 馬場 智尚, 小倉 高志, 荒井 宏雅, 奥寺 康司
    • 学会等名
      日本病理学会

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公開日: 2023-12-25  

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