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2021 年度 実施状況報告書

全ての病期における肝細胞癌の免疫微小環境の病理学的分類の確立と成立機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15407
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

紅林 泰  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40805123)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード肝細胞癌 / 進行がん / 微小環境 / 腫瘍免疫 / 転移 / 多様性 / 病理
研究実績の概要

本研究の目的は、①全ての病期(前癌病変、早期肝細胞癌から切除不能進行肝細胞癌まで)における肝細胞癌の免疫微小環境の病理学的分類の確立と、②各免疫微小環境の成立機序の一端の解明である。2021年度(4年計画の初年度)は、進行期肝細胞癌における免疫微小環境について、原発巣と転移巣の間における違いや多様性を含めて検討するため、進行期肝細胞癌の病理解剖例60例からなる研究コホートを樹立した。それぞれの症例において、原発巣に加えて代表的な転移巣数か所を含むFFPEブロックから標本を再作製し、組織学的所見の再評価を行った。また、一部の症例について多重免疫染色を用いた免疫微小環境の評価を開始した。
組織型を再評価した結果、外科切除例と比較して進行期肝細胞癌では低分化型から肉腫様の形態を示す腫瘍が有意に多いことが確認された。また、興味深いことに、これら低分化型から肉腫様の肝細胞癌の一部においてリンパ球浸潤の増加を伴う一群が認められ、進行期肝細胞癌に特徴的な腫瘍微小環境の存在が示唆された。従って、今後研究を進めることで進行期のがんの微小環境に関する興味深い結果が得られると考えられた。
また、免疫微小環境とその他の腫瘍間質構成要素との関係について検討するため、免疫微小環境と血管増生因子発現、腫瘍血管の相互関係について外科切除検体を用いて詳細な比較・検討を行った。この結果、肝細胞癌では腫瘍免疫応答と血管増生因子発現が互いに負に相関することが示され、肝細胞癌の腫瘍微小環境が4つのImmuno-vascular subtypeに分類できることが判明した。得られた成果は国際誌上に発表した(Kurebayashi et al. Hepatology 2021, Epub ahead of print)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度には、1)進行期肝細胞癌の病理解剖例の研究コホートの樹立と研究用プレパラートの再作製、2)組織学的所見の再評価と多重免疫染色による免疫微小環境の検討の開始を予定していたが、いずれも順調に行うことができた。また、免疫微小環境とその他の腫瘍間質構成要素との関係についての検討を完了し、その成果を国際誌に発表することができた(Kurebayashi et al. Hepatology 2021, Epub ahead of print)。

今後の研究の推進方策

2022年度には、2021年度に評価されなかった残りの症例について免疫微小環境の検討の評価を完了し、進行期肝細胞癌における免疫微小環境の分類を行い、既に得られている外科切除検体(臨床的病期が比較的低い腫瘍)との比較を行う予定である。あわせて、原発巣ならびに転移巣間における免疫微小環境の違いや多様性について詳細な検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は概ね計画通りに研究経費の支出を行ったが、6,670円の残額が生じたため、次年度に行う研究に必要な経費として合算して使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Immunovascular classification of HCC reflects reciprocal interaction between immune and angiogenic tumor microenvironments2021

    • 著者名/発表者名
      Kurebayashi Yutaka、Matsuda Kosuke、Ueno Akihisa、Tsujikawa Hanako、Yamazaki Ken、Masugi Yohei、Kwa Wit Thun、Effendi Kathryn、Hasegawa Yasushi、Yagi Hiroshi、Abe Yuta、Kitago Minoru、Ojima Hidenori、Sakamoto Michiie
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/hep.32201

    • 査読あり
  • [学会発表] Hepatocellular Carcinoma Tumor Microenvironment (LCSGJ-KLCA Joint Symposium: Updates on Molecular Signatures of Hepatocellular Carcinoma)2021

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Kurebayashi
    • 学会等名
      The Liver Week 2021 (Seoul, South Korea)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害剤併用療法の効果予測を見据えた肝細胞癌の腫瘍微小環境の解析と分類について2021

    • 著者名/発表者名
      紅林 泰, 辻川 華子, 尾島 英知, 坂元 亨宇
    • 学会等名
      第57回 日本肝癌研究会(鹿児島)
  • [学会発表] 肝細胞癌における免疫微小環境の病理学的多様性について2021

    • 著者名/発表者名
      紅林 泰
    • 学会等名
      第57回 日本肝癌研究会(鹿児島)
    • 招待講演
  • [備考] 慶應義塾研究者情報データベース

    • URL

      https://k-ris.keio.ac.jp/html/100002179_ja.html

  • [備考] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/yutakakurebayashi

  • [備考] 顕微鏡で観察するがん免疫の世界とその分類 KOMPAS(慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト)

    • URL

      https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201903.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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