研究課題/領域番号 |
21K15409
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐伯 春美 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (20535603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / エストロゲン受容体 / マクロファージ / 腫瘍浸潤リンパ球 / エストロゲン / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
卵巣癌に対する治療は手術の他、化学療法が主体であり、乳癌や子宮内膜癌のような抗エストロゲン剤等のホルモン治療はほとんど行われていない。一方、癌微小環境は、癌細胞のみではなく、腫瘍浸潤リンパ球を始めとした新たな癌治療のターゲットとして、近年、注目され、免疫チェックポイント阻害剤が開発、使用されている。 本研究は、卵巣癌における癌微小環境と女性ホルモンであるエストロゲンのシグナル伝達との関係を明らかにすることを目的としている。卵巣の上皮性悪性腫瘍は主に4つの組織型 (漿液性癌、粘液性癌、類内膜癌、明細胞癌)に分類されるが、その発生機序は大きく異なり、エストロゲン受容体蛋白発現の有無にも違いがあることから、癌微小環境に与える影響や状態も異なることが考えられる。 これまでに、276例の卵巣の上皮性悪性腫瘍についてtissue maicroarrayを用い、組織型毎にエストロゲン受容体 (ERα, GPER)蛋白発現の有無ならびに間質に浸潤する免疫担当細胞 (M1, M2マクロファージ)の浸潤程度を比較検討してきた。その中で、エストロゲン受容体蛋白発現と相関が見られる転写因子を確認し、現在、炎症細胞との関係を分子病理学的に評価している。また、ヒト卵巣癌培養細胞を用い、エストロゲン作用による前述の転写因子、マクロファージ活性の変化を検討中である。引き続き、卵巣癌におけるエストロゲン受容体とシグナル活性との関連、臨床病理学的背景との相関をあわせて評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織学的評価と併せて遺伝子発現解析を検討しているが、サンプルの選定や手法の選択に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
組織学的検討による解析結果と併せて、免疫担当細胞のプロファイリングを解析し、進行期や予後等の臨床病理学的データとの相関を確認し、成果を国際誌に発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養細胞実験ならびに遺伝子解析の準備に時間を要し、次年度に継続して行うこととなったため、これらの実験に必要な消耗品を次年度購入予定である。
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