研究課題
癌微小環境は、癌細胞のみではなく、腫瘍浸潤リンパ球を始めとした新たな癌治療のターゲットとして、近年、注目され、免疫チェックポイント阻害剤が多くの癌腫に対して治療に使用されている。しかしながら、卵巣癌においては奏効率が他の癌に比較し低く、十分な効果を挙げているとは言えないのが現状である。本研究では、卵巣癌における癌微小環境と女性ホルモンであるエストロゲンのシグナル伝達との関係を明らかにすることを目的としている。卵巣の上皮性悪性腫瘍は主に4つの組織型 (漿液性癌、粘液性癌、類内膜癌、明細胞癌)に分類されるが、その発生機序は大きく異なり、エストロゲン受容体蛋白発現の有無にも違いがあることから、癌微小環境に与える影響や状態が異なることを考えた。そこで卵巣の上皮性悪性腫瘍についてtissue maicroarrayを用い、組織型毎にエストロゲン受容体 (ERα, GPER)蛋白発現の有無ならびに間質に浸潤する免疫担当細胞 (M1, M2マクロファージ)の浸潤程度を比較検討した。また、一部の症例に対し、nCounter解析システムを用い、癌微小環境に関連する遺伝子解析を行い、エストロゲン受容体蛋白発現の有無により分類した際に有意差がある遺伝子が複数抽出された。現在は、エストロゲン関連の遺伝子発現との相関や、より多くの症例における発現を遺伝子発現解析ならびに免疫組織化学染色により裏付けを行っている。
3: やや遅れている
遺伝子発現解析結果の裏付け、検証がまだ十分ではなく、追加で検討を行っている。
臨床病理学的背景ならびに免疫染色、遺伝子発現解析結果との相関をまとめ、結果を国際誌の発表する。
遺伝子発現解析を今回の年度内に行う検体数には限りがあり、結果を受けて追加検討をすることとしたため。
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Int J Surg Pathol.
巻: - ページ: -
10.1177/10668969231213390.
Oncol Lett.
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