研究課題/領域番号 |
21K15410
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
津山 直子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (60626133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | DLBCL / 深層学習 / Digital pathology / リンパ腫 / 人工知能 / explainable AI |
研究実績の概要 |
本研究では、人工知能を利用したデジタル病理画像の深層学習による、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の予後モデルを構築することを目的とする。 深層学習モデルを病理診断の判断材料として利用するためには、構築したモデルおよびモデルの出力結果に対する説明性・解釈性の追加が必須である。画像分類タスクにおいて、モデルの予測値に対する説明性の手法として、予測値に最も貢献した画素値を可視化する手法(Grad-CAM)がよく用いられている。Grad-CAMは広く利用されている手法であるものの、モデルの予測結果が間違っていた場合には、Grad-CAMの出力結果が判断根拠の説明とならない場合が多いことが明らかとなり、単独の説明手法では不十分であると考えられた。 そこで、人工知能の医療への応用という観点からも、診断者である病理医がモデルの判断結果を理解できることが重要であると考え、複数の説明手法を併用することとした。Grad-CAM以外の手法の一つとして、モデルが学習した画像特徴量を用いてランダム画素値から特徴量を最適化して画像を生成する手法を試みた。手法の妥当性確認のために前段階として、形態学的特徴がわかりやすい上皮性腫瘍(癌腫)を用いて予備実験し、癌腫においては病理医が解釈可能な結果が得られたため、今後血液腫瘍(リンパ腫)に応用する。さらに別の説明手法も実施中である。モデルの出力結果に対する病理医の理解が高まれば、より信頼性の高い予後モデルの構築が期待でき、さらにモデルの精度向上のための課題点の抽出も可能になると予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現状ではモデルの予測精度は高いものの、予測に及ぼした画素領域を可視化してみると、その結果を病理医が理解できない画像があることが判明したため、別の手法を試す必要性が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
人工知能の医療への将来的応用を考慮して、モデルの精度だけでなく、構築したモデルが説明可能であるかという点に着目し、今後は複数の説明性・解釈性の手法を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はCOVID下で学会、とくに海外学会への参加・発表を行う機会がなく、旅費や参加費が掛からなかった。また、画像データに対する解析前段階の処理やデータ収集、また解析手法の探索などが主体となったため、現時点で費用のかかるクラウド環境への接続まで到達しなかった。
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