研究課題/領域番号 |
21K15424
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
藍原 大甫 福岡大学, 薬学部, 講師 (10636567)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 核内受容体 / PPAR / 遺伝子発現調節 / 脂肪肝 |
研究実績の概要 |
肥満や糖尿病などの代謝異常を伴う代謝関連脂肪肝疾患 (MAFLD) は、現在先進国を中心に世界的に増加傾向にあるが、有効な治療法は確立されていない。ゆえに、MAFLD の治療戦略のためには新しい原因因子を同定し、その因子に対する新薬の開発が必要と考えられる。一方、我々はすでに脂肪細胞の分化誘導に必須な因子である peroxisome proliferator-activated receptor gamma (PPARγ) が、肥満・糖尿病モデルマウスの脂肪肝で活性化されることを見出している。この知見に基づき、本研究では MAFLD の新規原因因子の候補として、我々が肝特異的に PPARγ を欠損させた肥満・糖尿病モデルマウスの肝臓から単離した fatty liver and PPARγ-dependent gene 1 (FLP1) の機能解析を行う。 前年度の結果から、脂肪肝モデルマウスの肝臓における FLP1 遺伝子の発現制御には PPARγ が関与していることが強く示唆された。そこで本年度は、PPARγ による FLP1 遺伝子の詳細な発現調節機構の解析を実施し、次の結果を得た。① FLP1 遺伝子は、その 5’ 上流域に存在する PPARγ 結合配列 (PPRE) を介して、PPARγ によって転写が活性化された。② PPARγ と RXRα のヘテロ二量体は、FLP1 遺伝子の PPRE に結合した。 これらの結果から、FLP1 が PPARγ の新規標的遺伝子であり、その 5' 上流域における PPRE を介して PPARγ によって正に発現調節されていることが明らかとなった。これは、FLP1 が PPARγ のエフェクターとして肝臓の脂肪蓄積に関与している可能性を示唆するものである。次年度は、ヒトの脂肪肝における PPARγ-FLP1 シグナル伝達経路や FLP1 タンパクの生理機能の解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載している本年度の計画をほぼ達成し、PPARγ による FLP1 遺伝子の発現調節機構を明らかにしたため、概ね順調に進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの脂肪肝における PPARγ-FLP1 シグナル伝達経路を解析する。また、引き続き、脂肪肝における FLP1 タンパクの生理機能の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会に参加するための旅費として使用する予定であったが、オンラインで学会に参加したため、次年度に使用する額が生じた。繰越し分は来年度の学会への参加費や、物品費として消耗品の購入に使用する予定である。
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